研究課題/領域番号 |
17H01594
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
巽 英介 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, 副オープンイノベーションセンター長 (00216996)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ECMO / PCPS / 補助循環 / 心肺補助 / ヘパリンフリー |
研究実績の概要 |
本年度は人工肺や遠心血液ポンプから成るディスポーザブルユニットに組み込み可能で、長期連続使用可能な耐久性と抗血栓性を高めたポリカーボネイト製コネクタ内蔵型の圧力センサと温度プローブを開発した。また、超小型のドライバユニットのサイズ(W298 x D205 x H405 mm、8.9 kg(ガスボンベ有り))をほとんど変更することなく、それらのモニタ信号を取り込み、内蔵のタッチパネルディスプレイで表示可能とした。設定した圧力に対するコネクタ内蔵型圧力センサのモニタ値は、直線的に変化し、-300~750 mmHgの範囲では誤差4.4 %以下の範囲に収まった。設定した灌流水温に対するコネクタ内蔵型温度プローブのモニタ値は、水温の変化に対しても従来型のソケット型温度プローブと同様に追従した。コネクタ内蔵型温度プローブの誤差は、20~30℃の変化に対しては、2.4% 以下で、30~40℃の変化に対しては、2.8% 以下であった。生物学的安全性試験などのGLP試験に着手し、超小型ECMOシステムに適用すべき試験を全て実施し、薬事承認用データを蓄積し得た。 慢性ECMO動物実験による評価では、試作超小型ECMOシステムは、交換を要することなく連続使用可能(最長18日間)であり、安定して2.5 L/minのバイパス血流量を維持し得た。人工肺の酸素移動量は136±13 mL/min、炭酸ガス移動量は98±21 mL/minと十分な性能を維持した。全例で安定して連続的にモニタリングが可能であった。ECMO後の回路内血栓は、ヘパリンフリーの1例にて人工肺流出側に観察されたのを除き、ほぼ認められなかった。腎臓にのみわずかな梗塞を認めた例があった。治験プロトコルの検討を開始し、施設IRB承認に向けた準備を進めた。PMDA相談を実施し、治験プロトコル・製品化戦略・薬事承認・保健償還戦略の更新を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画内容を実施することができ、大きな修正を要することなく、目標以上の成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
慢性動物実験による評価として、V-Aバイパス方式の慢性ECMO動物実験で、4週間の連続使用を目標に長期in vivo評価を進める。加えて、治験では評価できない過酷な条件として、ヘパリンフリーでの慢性動物実験や更に長期の慢性動物実験を試みる。また、治験に臨むに当って重要な付属品の開発として、本システムの操作者単独による搬送やベッドへの固定を実現するアタッチメントを設計・試作を実施する。施設IRB承認下にて、倫理面に十分な配慮を払いつつ、各協力施設におけるIRBの承認下に多施設参加の医師主導治験として、中長期ECMOの治験に着手する。製品化戦略・知財管理・薬事承認として、本研究の協力企業が研究成果の製品化を目指して、PMDAとの各種相談や、市場調査、保険償還価格に関する交渉などの準備を進める。
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