研究課題
我々は、ヒトiPS細胞由来の神経堤細胞(iNC)を歯根膜幹細胞様細胞(iPDLSC)へ分化誘導するために、ヒト歯根膜細胞の細胞外基質(ECM)上でiNCを培養することが必須であることを報告している。これまでに、このECMの発現に転写因子PAX9の関与が示唆される結果を得ている。そこで、PAX9発現ベクターを作製し、これを導入した歯根膜細胞の細胞外基質上でiNCを培養した結果、iPDLSCへの分化が促進することが明らかになった。さらに我々は、ECMの構成成分の解析を進めた結果、FBN2を特定した。FBN2遺伝子の発現を抑制した歯根膜細胞のECM上で培養したiNCは、iPDLSCへの分化が抑制された。したがって、iNCからiPDLSCへの分化にFBN2が重要な因子であることが示唆された。一方、歯根膜を有した人工歯根の作製のため、iPDLSCのスフェロイドを用いたチューブ状構造の3次元構築に取り組んだ。これまでに発表したヒト歯根膜幹細胞様細胞株のスフェロイドと異なり、iPDLSCのスフェロイド作製に際しては、細胞間の接着性が弱く、スフェロイドの形態を維持するのが困難であるため、バイオ3Dプリンターによるチューブ状構造体の作製に難航した。この解決のため、アスコルビン酸に着目した。その結果、これによるコラーゲン合成を促進することで、3Dプリンターによる操作に耐えられる強度を有したスフェロイドの作製とチューブ状構造体の作製に成功した。そこで、生体内でのこの構造体の機能性を明らかにするために、チューブ内にチタン棒を挿入し、脛骨骨端部に埋入して骨との相互作用について検証した結果、骨との良好な生着を示すことが明らかになった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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