研究課題/領域番号 |
17H01601
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大峡 淳 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40266169)
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研究分担者 |
佐伯 万騎男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30273692)
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
川崎 真依子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40584587)
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 幹細胞 |
研究実績の概要 |
幹細胞を利用した器官の再生にとって、「幹細胞の標的細胞への人為的誘導」は必須であるが、未だ、歯科領域の器官ではなされておらず、再生療法確立の見通しは立っていない。各器官は、決められた部位に確実に形成される。これは胎生期の幹細胞が適切な部位で、正確に予定細胞に分化していることを意味し、その制御メカニズムが解明できれば、幹細胞を意図的に希望の器官へと分化させる事ができる。Ofd1は、舌、口蓋、歯、鼻、顎などに多岐にわたる先天異常を示す疾患であるOFD1症候群の原因遺伝子として同定された。我々は、予備実験においてKeratin(K)14Creを利用して作成したOfd1上皮特異的欠損マウスの上顎前歯に異所性の毛髪の形成を確認した。つまりOfd1 が間葉系幹細胞の分化の方向を決定するスイッチの一つである可能性を示している。はじめに、この異所性の毛髪形成の頻度や形成時期について検索を行った結果、生後10ヶ月に達しないと毛髪形成が生じないこと、上顎前歯部のみに認められることが確認された。我々は、予備実験において、Wnt1Creを利用して作成したOfd1間葉特異的欠損マウスの舌に異所性の脂肪ならびに骨の形成を確認した。Wnt1Creの発現領域は非常に広く、異所性の脂肪・骨の形成に寄与した部位を特定していくのは難しい。そこで、他の間葉に発現するCreマウスを利用して、異所性の脂肪・骨の形成の有無を確認した。その結果、Osr2Creに同様の表現系を認めた。また、Sox9Creを用いたところ、脂肪のみの形成を認めた。これにより、異所性の脂肪・骨の形成を誘導する部位の特定が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ofd1は性染色体上にあるため、Ofd1欠損マウスを作成するのに手間がかかることに加え、母親マウスの飼育放棄や食殺行為のため、Ofd1欠損マウスを予定していた数に達するまで、予定していたよりも多くの時間を要した。さらに本年度の結果から、異所性の毛髪形成に関しては、生後10ヶ月以降のOfd1上皮特異的欠損マウスの獲得が必要であるため、必要数の獲得が間に合わず、実験の進捗に大きく影響した。繁殖の規模を増やすことにより、十分な数のマウスをすでに確保しており、今後は予定通りの研究遂行が可能と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、異所性の組織形成開始細胞の詳細な同定を行う。レーザーマイクロダイセクション、セルソーティングによりRNAを採取し、RNA-seq、マイクロアレイ、in situ hybridization, 免疫染色などにて、分子変動を検索する。また、同定した異所性の組織形成開始部位の器官培養法を確立する。
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