研究課題
上皮陥入組織の器官形態形成機構の解明のため、歯を含めた各種器官における発生段階で発現変化を示す遺伝子群を、CAGE法やSingle cell RNA sequence (scRNA seq)を用いて包括的なスクリーニングを行ってきた。昨年度においてはエナメル芽細胞の分化過程において、DSPP陽性エナメル芽細胞と、AMBN陽性のエナメル芽細胞の2種類の細胞が存在することを示した。さらに本年度においてはscRNA seq解析から、歯の発生過程においてCldn10が発生の初期段階では弱い発言を示すにも関わらず、エナメル芽細胞が分化するにつれ、中間層細胞に非常に強く発現することを見出した。これまで中間層の細胞マーカーとしてはNotch分子が知られていたが、Cldn10は新たな中間層細胞の分化マーカーとして使用できることが明らかとなった。Cldn10の中間層細胞での機能を明らかにする目的で、歯原性上皮細胞株SF2に過剰発現させて結果、過剰発現細胞においては中間層細胞の成熟過程において発現するALPの誘導を行うことが示された。このことから細胞間結合に関わるCldn10は中間層細胞の細胞分化を促進することが示唆され、今までブラックボックスであった中間層細胞の細胞分化機序を明らかにする新たな発見となった。また我々は成熟期エナメル芽細胞の機能を明らかにする目的で、これら細胞に強く発現しているGpr115に着目し、その分子機能の解明を試みた。本分子を欠損したマウスでは、重度のエナメル質形成を示した。またGpr115はCar6の発現を調整し、細胞外のpH調整に関わることを見出した。これらの成果は、何故エナメル質が石灰化するのかを明らかにする新たな発見であり、骨および歯の石灰化機構の差を示した新たな発見に繋がった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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