研究課題
令和2年度は、本科研5年計画の4年目にあたる。研究工程でみると、Phase1「能力向上の教育モジュールを作成評価,外国人ケアパス,ガイドラインの開発」、 Phase2「臨床活用による患者アウトカムをターゲットとしたガイドラインの臨床評価研究」、Phase3「2021年には再度看護職のカルチュラル・コンピテンスを測定し結果評価」において、Phase2~Phase3を含む時期にあたる。本年度は計画通り、看護国際化ガイドラインの開発と臨床評価、教育モジュールの精錬をすすめた。多文化対応能力研修を全国規模で継続し、前倒しで看護職のカルチュラル・コンピテンスの測定を実施した。ドイツのシャリテ医科大学ベルリンの多文化対応プログラム(IPIKA)との協働も発展させ、Covid-19感染症の世界的蔓延の対応として、Webinarで研修を定期的に4回実施した(参加者延べ450名)。特にドイツ看護師との事例検討および病院におけるガイドラインについて国際的に検討した。引き続き外国人患者の日本での受診および入院体験の聞き取り(質的データ)研究と、ICS(Individualized Care Scale)を用いた日本に滞在する外国人から見た日本の病院の看護の質評価(量的データ)研究、看護基礎教育(看護学生)向けの「看護英語ノート」を完成し、研究成果は、国内学会、国際学会での論文発表を行った。2020年はナイチンゲール生誕200年を記念して国際的にナイチンゲールチャレンジで次世代を担う若手看護職支援が展開されており、本研究プロジェクトは日本からの最初の登録として先鞭をつけた。本研究により、関心のある看護師個人の能力を高めるだけでなく、病院や組織のシステム変革のための看護管理の視点から看護国際化ガイドラインの開発を推進する意義は大きい。研究実績を含むコンテンツ報告書(1-134P)を作成した。
2: おおむね順調に進展している
本研究目的を達成するために、分担研究者をリーダーとする5つの研究班を組織して進めている。各研究班には若手研究者や大学院生も巻き込み成果を発出した。これまでの実績を踏まえ、組織的取り組みを継続発展させた。外部評価者、海外アドバイザーからも、フィードバックを得ている。毎週定期的に、本科研事務局(千葉大学野地研)より、科研ニューズレターを研究メンバー(臨床家を含む20名)に配信しており、本年度末には、通算で173号を発行した。事務局を中心に研究班の横のつながりが有機的に進められている。メンバーは国内外に分散しているので、メールだけでなく、Web会議を活用しており、今般のCovid-19感染症による分断があっても、工夫は求められるが研究の進捗への影響は少ない。1.国際シンポジウム班では、シャリテ医科大学との共同で国際セミナーを4回実施、次年度の継続が合意された。2.教育モジュールの開発では、J-CCCHS調査結果からデータに基づいた「看護英語ノート」を完成させた。3.ケアパス開発に向けた外国人インタビューを完了し英語論文化を開始した。4.看護国際化ガイドラインのSRは、継続して検討した。5.日本に滞在する外国人から見た日本の病院の看護の質評価の調査は、COVID-19の影響で困難を極めたが、対象を広げ臨床評価のため症例数を増やしてデータ収集解析を継続した。これらにおり、文化に配慮した安全で質の高い看護ケアの提供ができる看護職の教育および看護管理について研究を進めている。前年度に実施した研修参加者から研究協力者としての5名の実践家および教育者を迎えてパワーアップしたところであり、本研究の広がりと社会への波及効果が期待される。
目的達成にむけた今後の進捗方策は、初年度に立ち上げた研究チームとその中の5つの研究班が機能して成果をあげていることより、海外協力者を含め適宜の外部評価を得ながらチーム編成を継続する。ガイドラインの精錬および研究成果発信(学術、臨床、一般)強化のため、分担研究者に札幌市立大学の神島准教授を迎えた。COVID-19の病院と看護職への負担に配慮しながら、これまでの研究活動で参画を得た臨床現場とのネットワークを活かして、実証研究を継続する。その結果を、アプリへのコンテンツ搭載、臨床看護師が使えるポケットガイドブックの作成、外国人ケアパスの電子カルテ活用等の臨床実装と評価を行う仕組みをつくる。最終年度に、看護国際化ガイドラインの発出を行う。パブリックコメントも工夫し、看護管理学会のインフォメーション・エクスチェンジ(8月横浜)において、国際標準と実践知の統合を実施する。アプリ開発もすすめ、研修効果と合わせて看護職のカルチュラル・コンピテンスを高め普及させる仕組みを実装する。また、外国人患者の日本での受診および入院体験の聞き取り(質的データ)研究と、ICS(Individualized Care Scale)を用いた日本に滞在する外国人から見た日本の病院の看護の質評価(量的データ)研究の成果を論文投稿する。。看護基礎教育向けの「看護英語ノート」の成果物を発展させ、VRの活用により、次世代の看護職および若手看護学研究者の育成につなげ、「Nightingale challenge Now!」の世界的プロジェクトに参加継続する。ドイツのシャリテ医科大学ベルリンの多文化対応プログラム(IPIKA)とも協働し、Society5.0に資する看護管理の視点からインバウンド医療展開に向けた看護国際化ガイドラインの開発を完了する。成果報告シンポジウムを開催する。
令和2年度共同研究「看護職の文化的能力の評価と能力開発・臨床応用に関する実証研究」nGlobe研修コンテンツ報告書「看護英語ノート」
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国際臨床医学会雑誌
巻: 4(1) ページ: 43-49
Precision Medicine
巻: 3(7) ページ: 49-52
https://www.n.chiba-u.jp/nglobe/
https://www.n.chiba-u.jp/nglobe/app/