研究課題/領域番号 |
17H01609
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
谷岡 哲也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90319997)
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研究分担者 |
宮川 操 徳島文理大学, 保健福祉学部, 准教授 (90637084)
飯藤 大和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (60723921)
Locsin Rozzano 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (60747814)
安原 由子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90363150)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人型対話ロボット / 高齢者 / ケアリング / 看護 / 看護モデル |
研究実績の概要 |
平成30 年度は研究の第2段階として,健常成人と人型看護ロボット(Caring Nurse Robot: CNR),健常者高齢者とCNR,認知症高齢者とCNR との傾聴対話のデータ取得を開始した。楽しい対話プログラムの実証実験プログラム,Transactive Relationship看護理論(TR看護理論)によるケアリングとしての看護の機能を開発した。CRNは,ソフトバンクロボティクス(株)のPepperに搭載された介護予防アプリ〔(株)エクシング製〕を使用した。詳細を下記に示す。 (1)Pepperに搭載するためのケアリングとしての看護の対話機能を開発し,31年度に Pepper に実装するための準備(プログラミング)を行った。 (2)実証実験①を行った。調査対象被験者にアクチグラフまたは加速度計と心電図を装着し,Pepperとの意図的なコミュニケーションを10分程度行った。実施前後で血圧,脈拍,体温を測定した。認知症患者では,Pepper 導入前(4月)と導入後3ヶ月目(8月)に大・小の関節可動域(ROM)の測定【Image-Jというソフトを使用し静止画像を用い測定】,解析した。 (3)観察評価試験を行った。Pepper を使用し,患者に対するラジオ体操第一の効果測定を行った。医療者対患者関係や役割の変化,Pepper 主導での体操の進行状況,被験者の活動状況をビデオ撮影し, Pepper とテレビモニターによるラジオ体操第一の映像と介在者(作業療法士,看護師,介護福祉士)の説明で行い,Pepper,介在者,患者との関係性を分析した。 また,本年度実施予定であった感性評価①は,研究協力施設の改築により,次年度に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)実証実験①では,一部の被験者から Pepper との関わり前後における心拍変動解析を行い,運動時の自律神経活動の変化についての測定結果を得る事ができた。本年度に得た測定結果や測定方法の課題を参考に,来年度の自律神経機能評価を行う予定である。また,関節可動域の測定では,今後,顔認証システムを取り入れた自動計測機能を開発することにより,詳しい調査を行う予定である。 (2)観察評価試験では,Pepper とテレビモニターによるラジオ体操第一の映像と介在者という組み合わせ,かつ,介在者の支援が丁寧に行われた施設では,Pepperを継続的かつ効果的に活用できるという成果が得られたため,介在者への支援方法の確立,Pepperを活用するためのインストラクターの養成に向けての準備が進んでいる。 また,Pepper に搭載する介護施設専用の新たなアプリケ―ションの開発と改良を進めている。具体的には,傾聴対話を重視した対話アプリケ―ションの開発や対話性能の改良,介護施設において,対象者の個別性に配慮したリハビリテーション・レクリエーションの支援プログラムの開発である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度,行う予定となっている Pepper の感性評価①を行う。三船病院,福寿荘に勤務している医療職者(医師,看護職,作業療法士,介護福祉士,事務職員など120名)のうち,20歳~70歳代で,体操を行うため関節等に問題がないものを被験者とし,Pepper を使用した体操と対話の体験について気分,感想,満足度のアンケート用紙に記入していただく。 また,第2段階-2として,楽しい対話プログラムの実証実験プログラムとCNR に必要なTR看護理論によるケアリングとしての看護の機能の開発のプレテストを,前述の感性評価①の調査対象者の協力を得て行う。 実証実験については,観察評価を行うとともに,客観的な測定としては,これまでに応募者らの研究チーム行ってきた自律神経機能評価のための心拍変動解析を中心に行い,CNR による対話が,健常成人,健常高齢者,認知症高齢者の自律神経にどのような影響があるかを比較検討する。 データベースに蓄積したデータを解析することでケアリングとしての認知症の看護を明らかにする。また,倫理的配慮として確実に個人情報が保護できる仕組みを確立する。
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