研究課題/領域番号 |
17H01618
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
小達 恒夫 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (60224250)
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研究分担者 |
黒沢 則夫 創価大学, 理工学部, 教授 (30234602)
真壁 竜介 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (40469599)
茂木 正人 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50330684)
高橋 邦夫 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (50413919)
溝端 浩平 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (80586058)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Southern Ocean Sentinel / Indian Sector / Marine ecosystem / Australia-Japan / Benchmark 2022 |
研究実績の概要 |
平成30年度に行われた「海鷹丸」南極航海において得られた動・植物プランクトン、魚類稚仔試料、およびゲノム解析用試料の解析を実施した。既に解析が終わったものについては、国際・国内研究集会において発表した。 一方、中規模渦と生態系構造を調べる漂流系実験に関しては、観測期間をより長期にするため、南極観測船「しらせ」により令和元年12月に投入し、令和2年2月に「しらせ」で回収することが出来た。12月の投入海域はまだ海氷が存在することが予想されたため、海表面に浮かぶGPSブイシステムに耐氷性能を高める改造を施した。漂流系には、時系列採集出来るセジメントトラップ及び各種センサーを吊架しており、回収後これらの機材は正常に作動していたことが確かめられている。得られた試料・データ等については令和2年度に行う予定である。 日豪研究協力強化に関しては、前年度(平成30年度)に開催された第4回南極科学に関する日豪ワークショップにおいて、日本の「海鷹丸」による海洋生態系研究と豪の南極基地の一つであるケーシー基地(110°31′36″E、66°16′57″S)で実施されている海鳥類トラッキング研究を有機的に融合させることで、さらなる研究の発展が期待されたことから、両国の関係者による研究集会を開催することとしていた。これを受けて、平成31年4月に国立極地研究所でUmitaka-Casey Coordination Workshopを開催した。ここでは、これまで両国が保有している関連データを「見える化」することが第一段階であることに合意し、情報の共有を進めることとした。なお、本研究課題を含む観測データや採集試料の所在情報は、オープンアクセスであるJARE DATA REPORTS及びPolar Data Journalで公開していることを報告し、高い評価を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に行われた「海鷹丸」南極航海において得られた動・植物プランクトン、魚類稚仔試料、およびゲノム解析用試料の解析を実施した。既に解析が終わったものについては、日本地球惑星連合2019年大会(令和元年5月、千葉市)、日本海洋学会2019年度秋季大会(令和元年9月、富山)、The 10th Symposium on Polar Science(令和元年12月、東京)において発表した。 現場観測についても、中規模渦と生態系構造を調べる漂流系実験がおおむね順調に実施することが出来た。特に、令和元年度の漂流系実験は海氷が融解する時期の沈降粒子を的確にとらえていると考えられ、令和2年度に実施予定のデータ・試料分析結果に期待が持たれる。 日豪研究協力強化に関しても、平成31年4月に国立極地研究所で開催した研究集会(Umitaka-Casey Coordination Workshop)において、日本の強みを生かした海洋生態系研究と豪の海鳥類トラッキング研究を融合させ、将来的な共同研究の出発点になったと期待された。 以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度においては、令和元年度までに行われた「海鷹丸」南極航海において得られた動・植物プランクトン、魚類稚仔試料、およびゲノム解析用試料の解析を実施する。特に、動物プランクトン・魚類稚仔では、消化管を摘出した試料を用いて、食物連鎖を推定するためのゲノム解析試料を行う。これらの解析から不足していると考えられる試料については、令和2年度に実施される「海鷹丸」南極航海において採集する。 また、これまでに得られた試料の解析の研究成果は、国際研究集会や国内関連学会において多数発表された。今後は、これらの成果を科学雑誌へ投稿することを支援して行く。 日豪の連携強化についても、平成30年4月に国立極地研究所で開催する研究集会(Umitaka-Casey Coordination Workshop)で合意された、両国が保有している関連データを「見える化」を進める必要がある。 但し、令和元年度末から令和2年4月の現在まで、新型コロナウィルス感染が世界的に広がっている。海外への移動については不確定な部分があり、令和2年度の「海鷹丸」南極航海や豪研究者との連携については、今後の状況の推移を見て判断する必要がある。
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