研究課題/領域番号 |
17H01646
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
村上 恭通 愛媛大学, アジア古代産業考古学研究センター, 教授 (40239504)
|
研究分担者 |
臼杵 勲 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (80211770)
丹羽 崇史 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (40455564)
槙林 啓介 愛媛大学, アジア古代産業考古学研究センター, 准教授 (50403621)
松本 圭太 九州大学, 人文科学研究院, 学術研究員 (00726549)
荒 友里子 愛媛大学, アジア古代産業考古学研究センター, 研究員 (90783853)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | アルタイ / 鉄生産 / 遊牧・騎馬民族 / 鉱産資源 / 森林資源 |
研究実績の概要 |
当初、2020年度はモンゴル、ロシア、カザフスタンのアルタイ地域と中国雲南省におけるフィールドワークを実施する予定であったが、新型コロナ感染拡大の影響を受けて実施できなかった。さらにロシアによるウクライナ侵攻に伴い、ロシア・アルタイにおける調査の継続が不可能となり、また新型コロナとコロナ後の国家間関係の悪化から中国雲南省での調査もできなくなった。そこで2020年度の調査としては、2019年9月に発掘して、中断していたモンゴル・アルタイ地域のオブス県にあるグング(Gung)遺跡を発掘した。 2019年度までの発掘調査では、3カ所のトレンチで匈奴から柔然にいたる時代の製鉄炉を検出していたが、その数の多さから炉内の構造までは明らかにしていなかった。今回の調査ではまず、浸食されて地表に現れた製鉄炉の輪郭を清掃して明らかにし、既発掘の分も含めて23基の炉が存在することを明らかにした。この数はモンゴルの製鉄遺跡でも最多となる。そのうち鮮卑の時代にあたる大型円形の1号炉では炉、作業土坑およびトンネルの構造を明らかにすることができた。また炉が再利用され、さらに作業土坑には1号炉とは異なる8号炉がトンネルで接続していることも新しい所見として得られた。匈奴の時代に属する19・20号炉については両者の切り合い関係を明確にし、各炉と作業土坑を繋ぐトンネルの敷設にこれまで確認されたことのない方法が採用されていることがわかった。 なお調査中にグング遺跡のドローン撮影に際して、周辺において青銅器時代から中世にかけての未調査遺跡を確認したため、それらについても記録した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は新型コロナ感染大の影響で出入国ができず、現地発掘調査がまったくできず、またモンゴル科学アカデミー考古学研究所に保管されている2019年度発掘資料の整理作業も実施できなかったために大幅に遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
グング遺跡において、2019年度に検出した製鉄炉を使用債に発掘するという点については、2022年度に実行できた。ただし、出土遺物については、モンゴル国外への搬出手続きに時間を擁し、年度が変わってから日本に届いたため十分な時間をかけた調査ができなかった。また鉄滓などについては年代測定を除き、自然科学的調査を実施する段階までにはいたらなかった。これらの点については今後も分析調査の機会を改めて設け、整理することとしたい。
|