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2019 年度 実績報告書

グローバル都市の底辺層の構造と変容

研究課題

研究課題/領域番号 17H01657
研究機関特定非営利活動法人社会理論・動態研究所

研究代表者

青木 秀男  特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (50079266)

研究分担者 小ヶ谷 千穂  フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (00401688)
北川 由紀彦  放送大学, 教養学部, 教授 (00601840)
森 千香子  同志社大学, 社会学部, 教授 (10410755)
石岡 丈昇  日本大学, 文理学部, 教授 (10515472)
田巻 松雄  宇都宮大学, 国際学部, 教授 (40179883)
山口 恵子  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40344585)
松田 素二  京都大学, 文学研究科, 教授 (50173852)
中村 寛  多摩美術大学, 美術学部, 准教授 (50512737)
吉田 舞  フェリス女学院大学, 文学部, 研究員 (50601902)
中田 英樹  特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (70551935)
結城 翼  特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (50840493)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードグローバル都市 / 都市底辺 / インフォーマリティ / ジェントリフィケーション / 貧困 / ネットワーク / 生活世界 / 生き抜き戦略
研究実績の概要

本研究の目的の達成のために次のことを行った。一つ、6都市(ニューヨーク、パリ、東京、メキシコ・シティ、ナイロビ、マニラ)の底辺層の生活実態の分析と国際比較のための仮説・理論枠の構築を行い、統一アンケートと聞き取り調査を行うなど、本研究の中身の充実に努めた。二つ、10月26日・27日に北海道大学東京事務所において国際シンポジウムを開催した。シンポジウムにはナイロビからWangui Kimariさん、マニラ出身のAmisson Andre Ortegaさん(カナダ在住)、メキシコ・シティ出身のHeriberto Rutz Tafoyaさん(日本在住)を招き、それぞれの都市の底辺層の現状報告と、それらの研究に関する問題提起を受けた。三つ、12月21日・22日に明治学院大学において、研究代表者・分担者が執筆者となる英語本の刊行のための国際フォーラムを開催した。フォーラムにはアメリカのCritical Sociology編集長のDavid Fasenfestさん、Wayne State University教授の Heidi Gottfriedさん、香港大学教授のPun Ngaiさん他2名の香港の研究者、明治学院大学教授のTom Gillさんを招いた。そして研究代表者・分担者が研究報告を行い、報告へのコメントを受けた。四つ、12月19日にDavidさんとHeidiさんを広島県呉市の被差別部落へ案内し、日本の都市底辺層についての現地調査を行った。五つ、10月5日・6日に東京女子大学で開催された日本社会学会において本研究に関する情報収集を行った。
さらに2020年3月1日・2日に広島で本研究の全体会議を開催する予定であったが、コロナ・ウイルスの蔓延が広がったので中止した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2019年度の本研究プロジェクトの進捗状況は、次の通りであった。一つ、6都市でのアンケート・聞き取り調査は、コロナ・ウイルスの影響が出るまでは順調に進展した。アンケート調査は、目標の事例数は50票であったが、各都市とも順調に出発した。予定では2019年度にすべての調査を完了し、さらに補充調査を行うはずであった。二つ、国際会議を2度開催した。最初のシンポジウムでは、ナイロビ、マニラ、メキシコ・シティの研究者から底辺層の構造と変容について報告を受け、研究代表者・分担者の調査・理論とのすり合わせを行った。次に国際フォーラムでは、代表者が都市分析の方法・理論に関する報告を行い、分担者が日本のマニラ・東京の底辺層の構造と変容に関する報告を行った。そしてこれらの議論を通して、6都市の底辺層についての調査事例と全体について認識を共有した。とくにアンケート調査に関して、昨年度に続いて、都市ごとに使える項目・使えない項目、余分な項目・足りない項目を出し合い、各都市の差異を摘出し、それについての議論を行い、各都市の底辺層の態様を浮き彫りにした。これは都市底辺層の国際比較となる議論であり、本研究にとって重要な作業であった。さらに、日本社会学会、都市社会学会等において報告と議論を行い、本研究の理論的・実証的な研究成果について、広くコメントと評価を得た。本研究の計画では最終年度の2020年に、研究成果を英語本で刊行する予定であったが、2020年に入ってのコロナ・ウイルスの蔓延のため、各都市での現地調査が大幅に遅れることになった。当初は2020年3月末までに原稿を執筆し、2020年9月末までに原稿修正を終えて、2021年3月までに本を刊行する予定であったが、これも大幅に遅れることになった。

今後の研究の推進方策

本研究プロジェクトを進めるために、2020年度は次の活動を行うとされた。一つ、6都市におけるアンケートと聞き取りによる底辺層の調査を行う(各都市50票を目途)。すべての都市で補充調査を行う。本年度の作業の中心は、これらの調査を完了し、データを集約し、分析する。データの集約は各都市班で行い、その結果の概要を全体班に提出する。全体班は、データの分析を行い、各都市の底辺層を比較して都市の個別性を分析し、6都市全体の普遍的な底辺層像を浮き彫りにする。二つ、2020年10月に東京において、パリ・ニューヨーク・東京の研究協力者を招いて、本研究を進めるための国際シンポジウムを開催する。そして、先進産業国のグローバル都市の底辺層の全体像・個別像について議論を行う。これは、昨年度に開催したナイロビ、マニラ、メキシコ・シティの国際シンポジウムの続きをなすものである。三つ、12月に、社会理論・動態研究所との共催で、アメリカからCritical Sociology編集長のDavid Fasenfestさんと女性労働問題の研究者であるHeidi Gottfriedさんを招いて、東京で国際フォーラムを開催する。四つ、2021年3月に、社会理論・動態研究所において全体会議を行う。ここで、本研究プロジェクトの構想を確定し、研究成果の全体を評定する。五つ、これらの作業と並行して本研究プロジェクトの成果を英語本にするための原稿の執筆を行う。2021年3月末までに原稿を執筆し、Brill社との専属契約をしてDavidさんの中身チェックを受け、22年3月末までに刊行する。しかしこれらの予定も、コロナ・ウイルスの蔓延が収まらず、実施できなかった。さらに2021年度へ延長し、これらの計画を実施していく予定であったが、一部を除いて、これもできなかった。今後(2022年度)、これらの計画の完了をめざす予定である。

  • 研究成果

    (30件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 図書 (8件) 学会・シンポジウム開催 (2件)

  • [雑誌論文] グローバル都市の底辺層の構造と変容:東京班中間報告2020

    • 著者名/発表者名
      田巻松雄・北川由紀彦・山口恵子・結城翼
    • 雑誌名

      宇都宮大学国際学部研究論集

      巻: 49号 ページ: 101頁~122頁

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 都市インフォーマリティと例外状態:国家主権と底辺層の統制2019

    • 著者名/発表者名
      青木秀男
    • 雑誌名

      日本都市社会学会年報

      巻: 37号 ページ: 45頁~61頁

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 転向と非転向の間:権力と主体と思想2019

    • 著者名/発表者名
      青木秀男
    • 雑誌名

      部落解放研究

      巻: 26号 ページ: 119頁~141頁

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Legitimacy in Conviviality: Learning from Legitimacy: Ethnographic and Theoretical Insights2019

    • 著者名/発表者名
      Matsuda, Motoji
    • 雑誌名

      URBANITIES Journal of Urban Ethnography

      巻: 9-2 ページ: 83-86

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 栃木県における外国人生徒の進路状況:9回目の調査結果報告2019

    • 著者名/発表者名
      田巻松雄
    • 雑誌名

      宇都宮大学国際学部研究論集

      巻: 48号 ページ: 81頁~86頁

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 移動とヴァルネラビリティ:アジアの移住女性労働者をとりまく状況から考える2019

    • 著者名/発表者名
      小ヶ谷千穂
    • 雑誌名

      年報社会学論集

      巻: 32号 ページ: 44頁~51頁

  • [雑誌論文] フィリピンと日本から考える「人間のメンテナンス」:移住ケア労働に日本が求めるものとは2019

    • 著者名/発表者名
      小ヶ谷千穂
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 47-5 ページ: 101頁~111頁

  • [雑誌論文] スモーキン・ウィズ・ザ・スパイク・リー・ジョインツ:過去と同時代を串刺しにする2019

    • 著者名/発表者名
      中村寛
    • 雑誌名

      ユリイカ

      巻: 6巻5号 ページ: 156頁~167頁

  • [雑誌論文] 国家資本主義の周辺史に関する移住民の生活史からの再考2019

    • 著者名/発表者名
      中田英樹
    • 雑誌名

      部落解放研究(広島)

      巻: 26号 ページ: 93頁~117頁

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 宿泊業における技能の制度化:「外国人労働者」の「特定技能」による受け入れをめぐって2019

    • 著者名/発表者名
      山口恵子
    • 雑誌名

      アジア太平洋研究

      巻: 44号 ページ: 45頁~60頁

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本のホームレス研究は何を明らかにしてきたのか:その動向と論点2019

    • 著者名/発表者名
      北川由紀彦
    • 雑誌名

      理論と動態

      巻: 12号 ページ: 13頁~33頁

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] フランスにおける「移民・難民危機」と尊厳:抵抗運動の背景としての「移民・難民」をめぐる政治2019

    • 著者名/発表者名
      森千香子
    • 雑誌名

      年報社会学論集

      巻: 32号 ページ: 34頁~43頁

  • [雑誌論文] 『予期せぬ共生』と人種分断を越える実践:ブルックリンのジェントリフィケーションをめぐる一考察2019

    • 著者名/発表者名
      森千賀子
    • 雑誌名

      アメリカ史研究

      巻: 42号 ページ: 54頁~72頁

    • 査読あり
  • [学会発表] アフリカの知恵が世界を救う2020

    • 著者名/発表者名
      松田素二
    • 学会等名
      アフリカセミナーの会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Two marginalized (invisible) worlds of the contemporary Japanese Society Rural village society and urban slum quarter2019

    • 著者名/発表者名
      Matsuda, Motoji
    • 学会等名
      East Asian Junior Workshop
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 人類の未来とアフリカの潜在力:集合的創造性の可能性2019

    • 著者名/発表者名
      松田素二
    • 学会等名
      長崎大学多文化社会学部シンポジウム:アフリカのレジリエンスー現代社会の困難を克服する創造性とフィールドワーク主義
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ニューヨーク・ハーレムのストリートにおける「人種」概念2019

    • 著者名/発表者名
      中村寛
    • 学会等名
      アメリカ学会年次大会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Sakanoue Tamuramaro was Black!’: Thinking about Afrocentrism and Trans-Pacific Imagination2019

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, Yutaka
    • 学会等名
      Annual Meeting of the American Studies Association
    • 国際学会
  • [学会発表] 都市インフォーマリティ再考:マニラにおけるストリート・ベンダーの事例より2019

    • 著者名/発表者名
      吉田舞
    • 学会等名
      日本都市社会学会大会
  • [学会発表] Informality of Labor in Urban Space: a Case Study of Street Vendors in Malate2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, Mai
    • 学会等名
      International Research Forum on the Philippines
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] The Challenge of African Potentials: Conviviality, Informality and Futurity2020

    • 著者名/発表者名
      Yaw Ofosu-Kusi & Motoji Matsuda
    • 総ページ数
      276
    • 出版者
      Langaa RPCIG
    • ISBN
      9956551147
  • [図書] 家事労働の国際社会学:ディーセント・ワークを求めて2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤るり編定松文・小ヶ谷千穂・平野恵子・大橋史恵・巣内尚子・中力えり・宮崎理枝・篠崎香子・小井土彰宏・森千香子
    • 総ページ数
      392頁
    • 出版者
      人文書院
    • ISBN
      9784409241325
  • [図書] グローバル化のなかの都市貧困:大都市におけるホームレスの国際比較2020

    • 著者名/発表者名
      山口恵子・青木秀男
    • 総ページ数
      406頁
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      978-4623087457
  • [図書] 都市社会学を学ぶ人のために2020

    • 著者名/発表者名
      玉野和志編
    • 総ページ数
      236頁
    • 出版者
      世界思想社
    • ISBN
      978-4790717386
  • [図書] ある外国人の日本での20年:外国人児童生徒から「不法滞在者」へ2019

    • 著者名/発表者名
      田巻松雄
    • 総ページ数
      204頁
    • 出版者
      下野新聞社
    • ISBN
      978-4-88286-743-2
  • [図書] Cultural and Social Division in Contemporary Japan: Bridging Social Division2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshikazu Shiobara, Kohei Kawabata, Joel Matthews
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      978-1138310391
  • [図書] Lost and Found vol.5:期待と回想の同時代2019

    • 著者名/発表者名
      中村寛
    • 総ページ数
      172頁
    • 出版者
      人間学工房
  • [図書] 移民政策とは何か:日本の現実から考える2019

    • 著者名/発表者名
      高谷幸・樋口直人・稲葉菜々子・森千香子他
    • 総ページ数
      256頁
    • 出版者
      人文書院
    • ISBN
      978-4-409-24124-0
  • [学会・シンポジウム開催] Structure and Transformation of Bottom People in Global Cities, Part 12019

  • [学会・シンポジウム開催] Structure and Transformation of Bottom People in Global Cities, Pert 22019

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公開日: 2022-12-28  

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