研究課題
ザンビア国内で野生動物及び家畜において発生している細菌性人獣共通感染症の感染経路を探索することを目的し、感染症が発生している地域の河川水及び土壌の採取・試料中の病原体調査を行った。昨年に続き本年10月頃よりルワンガ川流域(チャマ地区からサウスルワンガ地域にかけて)で野生動物の不審死が多数確認され、また、本年はリビングストーン周辺のザンベジ川流域においても同様の現象が確認されている。本調査では、ルワンガ川のノースルワンガ地域からルサカ方面にかけて、ザンベジ川のリビングストーンからモングにかけて、河川水を中心に試料を採取するとともに、来年度以降の調査に向けて採材場所の状況調査を行った。今回の採材では、河川水13検体(1検体 最大40リッター)、土壌3検体及び動物組織1検体の計17試料を採取した。河川試料に関しては微生物濃縮法の検討を行うとともに、次世代シークエンサーMinIONによる遺伝子解析ならびにqPCRによる試料中微生物の定量解析を行った。得られた遺伝子情報等に関して現在解析を行っているが、これまでにルワンガ川の複数の試料より病原性細菌遺伝子が検出されており、河川流域において動物間で広がっている感染症への関連性を検証していく予定である。
3: やや遅れている
研究計画において、複数回のザンビア渡航を行い、国内で確立した実験系の稼働確認等を現地で行うことにしていた。しかしながら、申請者が眼球摘出処置を受けることとなり、飛行機への搭乗等が困難となり、年度内の渡航回数を制限せざる得なかったため。
1. 現地調査、微生物解析、及び地理情報解析 本研究調査は、ザンビア共和国において8月~10月の期間を中心に6月~10月の乾季に実施する。試料採取は、アウトブレイクの有無にかかわらず実施する。本年度は平成29年度に引き続き、流域河川の現地調査により微生物解析データ、および地理情報解析データの収集・解析を行う。調査は、前年度と同じ期間に定期的実施し、確立した試料調製及び解析方法に従い処理を進め、データの蓄積を進める。平成29年度に確立した濃縮・回収手法を用い、河川水中の微生物の濃縮を行い、次世代シーケンス及び定量的PCR法により試料中の微生物を解析する。a) 非加熱処理の誘出液及び膜上誘出液中の微生物に対し、16SrRNA及び腸管系ウイルス遺伝子を解析する。b) 加熱処理により得られた芽胞誘出液および芽胞膜上誘出液から芽胞内核酸を抽出し、Bacillus属細菌をはじめとした芽胞形 成細菌を対象とした網羅的解析を行う。得られた結果を利用し、河川水による微生物拡散モデルへの適用・応用の検討に着手する。C) 河川積算流量、水深、流域面積など対象河川流域の地理的情報解析を行う。同地点で定期的に経時的な流量、水深を測定する。さらに衛星画像 を地理情報システム(GIS)により、流域面積、河道などの乾季期間の河川流域変化を解析する。収集した河川流域の地理情報から、積算流量、到達時間、経時的流域変動を解析する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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