研究課題
病原微生物の感染経路および伝播様式は、感染症予防対策を立案・実施していくうえで重要な要因である。しかし、アフリカのザンビア共和国における二大河川流域の上流から下流に向かって発生する炭疽は、河川水を介した水系伝播は証明されていない。ザンビア国内で野生動物及び家畜において発生している細菌性人獣共通感染症の感染経路を探索することを目的とし、感染症が発生している地域の河川水及び土壌の採取・試料中の病原体調査を行った。2019年11月、これまで炭疽アウトブレイクが複数回発生しているザンビア北東部に位置するルワンガ川流域チャマ地区で河川水試料の採取を行った。本年度も、これまでの2年間に試料採取を行った15地点の河川水(1地点 40リッター)を採取し、2種類のろ過膜を用いて河川水中の微生物を収集した。収集した微生物よりDNA抽出を行い、細菌の16SRNA遺伝子をコントロールとして炭疽菌遺伝子の有無をPCR法によって解析したが、本年度の河川水試料から炭疽菌遺伝子は検出されなかった。一方、本年度より東京大学愛知正温博士に研究分担者として参画していただき、ルワンガ川の河川標高データおよび調査で取得した流速値等に基づき、河川流水による炭疽菌芽胞の拡散モデルの構築に着手し、申請時に記載したルワンガ川上流域から下流域への炭疽伝播が起きうることを支持する結果を得た。今後、過去のルワンガ川流域で発生した炭疽事例と本モデルから得られるデータを比較検討することで、同国の炭疽発生の予測ならびにその対策への展開が期待される。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
J Virol
巻: - ページ: -
10.1128/JVI.00408-20
JJVR
巻: 67 ページ: 195-202
PeerJ
巻: 7 ページ: e6718
10.7717/peerj.6718
Emerg Infect Dis
巻: 25 ページ: 883-890
10.3201/eid2505.171890
Sci Rep
巻: 9 ページ: 19324
10.1038/s41598-019-55709-3