研究課題/領域番号 |
17H01689
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥宮 清人 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携教授 (20253346)
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研究分担者 |
藤澤 道子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (00456782)
GARCIADELSAZ EVA 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 助教 (10294828)
坂本 龍太 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (10510597)
大崎 康史 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (20294829)
小久保 康昌 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 招へい教授 (60263000)
葛原 茂樹 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (70111383)
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (70190494)
和田 泰三 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (90378646)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / パーキンソン症候群 / 西ニューギニア |
研究実績の概要 |
2018年度には、インドネシア、パプア州、マッピ郡、ケピ、エデラ川沿いの村、バデ、Ia川流域の村で調査し、新しく診断しえた神経変性疾患は、2例の運動 ニューロン疾患とパーキンソン症候群1 名であった。運動ニューロン疾患の内訳は、ALS-P:1例、Possible ALS:1例を認めた。フォローアップ調査により確認しえた死亡者は、Spastic paraparesis:1例と、パーキンソン症候群4名であった。生存中の下位運動ニューロン疾患:1例と、Spastic paraparesis:2例と、パーキンソン症候群:9例と小脳変性症:2例をフォローし得た。 2001年より2017年度までの調査より診断しえた、西ニューギニアの神経変性疾患、97例の病型を分類した。1)運動ニューロン疾患 39例、2)パーキンソニズムとALSの合併例:20例、 3)パーキンソン症候群:34例、4)その他:5例であった。以上より、西 ニューギニア地域の神経変性疾患は、減少しているものの多発していることが判明した。ALSとパーキンソニズムの症状が同一患者で重複しており、認知症の合併と家族内発症も認めた点は、紀伊やグアムのALS/PDCと酷似しており、この3地域の疾患は同一疾患である可能性が非常に高まった。グアム島や日本の紀伊半島では、ALSの急激な減少とともに、パーキンソン症候群の占める割合の増加が報告された。今回のパプアの調査では、新たなALSの確定症例を認めなかった。パプア州においても、生活の近代化が今まさに浸透してきており、時代的な環境変化と高齢化に伴うALSとパーキンソン症候群の病型の変遷が、この地域でも来たしている可能性が有り、今後も引き続き、フォローアップが必要である。 また、スラバヤのAirlangga大学と、遺伝子検査の共同研究のための、MOA締結が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この3年間、新規の確定ALSの確認ができなかったが、運動ニューロン疾患の可能性を有する2例を確認しえた。14人の神経変性疾患をフォローアップし、5人の死亡を確認し得た。時代的な環境変化と高齢化に伴うALSとパーキンソン症候群の病型の変遷が、この地域でも来している可能性が示唆され、フォローアップの重要性を認識し得た。インドネシアの大学との遺伝子検査の共同研究の準備が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、現地のチェンデラワシ大学のスタッフや地域医師、公衆衛生関係者と協力関係を続けながら調査を行い、新症例の確認とともに、生存者のフォローアップ調査と死亡例の確認を継続する。現地でのワークショップや成果の公表と共有をさらに積極的に推進し、治療の可能性があるパーキンソン病やそれ以外の神経変性疾患のQOL向上に向けて、現地医師と協力して、予防や医療の改善に貢献する。さらに、インドネシアの大学との共同研究により、遺伝子検査を進める。
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