研究課題/領域番号 |
17H01701
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松田 安昌 東北大学, 経済学研究科, 教授 (10301590)
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研究分担者 |
矢島 美寛 東北大学, 経済学研究科, 客員教授 (70134814)
西井 龍映 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (40127684)
栗原 考次 岡山大学, その他の研究科, 教授 (20170087)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Whittle推定 / 局所定常モデル / 等方性 / 時空間データ / スペクトル密度関数 |
研究実績の概要 |
CARMA確率場モデルは定常空間モデルである。昨年度の研究では、CARMA確率場から定常性の制約を外して非定常性をゆるし、時間方向に拡張して非定常時空間CARMA確率場を提案することを目標に研究を実施してきた。最大の成果は、Dahlhausの局所定常モデルを時系列から空間モデルに拡張したこと、効率的なパラメータ推定法を提案したこと、推定量の良さを数理的に証明したことの3点である。概要は以下の通り。 (1) 分担者の矢島美寛教授と共著で非定常時空間CARMA確率場モデルを提案した論文を出版したこと。 (2) CARMA確率場の非定常時空間への拡張の試みを日本統計学会にて発表したこと。 (3) Giuseppe Arbia教授を9月に、Peter Robinson教授を3月に東北大学招いて非定常な時空間分析法について議論を行い、前者では等方性を考慮に入れた推定法について、後者では推定量の良さを数理的に評価するための制約であるガウス性の仮定をゆるめる方法について新しいアイデアをうることができた。 (4) 11月と3月に東北大学においてシンポジウムを開催し、国内外の時空間データ分析の研究者を招待して研究発表とディスカッションを行った。前者ではファイナンス時系列に対して銘柄間の距離を導入し、多変量ファイナンスデータに空間計量経済モデルを導入するという興味深いアイデアを示した。後者では、パネルデータモデルに相関構造をノンパラメトリックに扱うことでより正確な分析をおこなうことができることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果の出版、シンポジウム開催、国内外研究者との共同研究の実行を果たし、本研究計画は順調に進んでいると評価できる。最も大きな成果は、Dahlhausの局所定常モデルを時系列から空間モデルに拡張したこと、効率的なパラメータ推定法を提案したこと、推定量の良さを数理的に証明したことの3点である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は昨年度までに扱った非定常性とは違うタイプの非定常性を分析するモデルを提案したい。具体的には分散が発散して存在しないモデルに対する分析法を提案し、そのパラメータ推定量の良さを数理的に厳密に扱う方法を確立することである。そのため、国内外の時空間データ分析の研究者を招聘してシンポジウムの開催、外国人研究者を東北大学に招待して国際共同研究の実施することによって、非定常時空間分析の研究を推進していく計画である。
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