研究課題/領域番号 |
17H01722
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
結縁 祥治 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (70230612)
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研究分担者 |
関 浩之 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (80196948)
西田 直樹 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (00397449)
中澤 巧爾 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (80362581)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 逆計算モデル / 並行プログラミング言語 / 計算モデル / 実時間性 |
研究実績の概要 |
本研究は、並行プログラムのバグの発生状態から逆に計算することでデバッグを行う手法を確立することが目的である。並行計算において、「バグ」はプログラムの仕様として到達しない状態であり、並行プログラムでは再現性が困難な場合が多く、しかも致命的である場合が多い。特にプログラムが実時間性を持つ場合、並行に実行されるコンポーネントの同期がうまくとられている必要がある。これらのデバッグにおいては、プログラムそのものの意味の他に、実行におけるスケジューリングの非決定性などの環境に起因する非決定性のためにバグ出現の再現が困難である場合が多い。この観点から、順方向の意味から逆方向の意味をあわせて定義すればバグ状態からの解析が容易になることが期待できることから、離散時間意味を含めた並行プログラムの動作意味における逆計算を定式化する。 本年度は、並行計算における逆計算に関する基本的な枠組みの調査を行った。NII湘南ミーティングおよび欧州共同体プロジェクトCOST Action1405のサマースクールに参加して情報を収集した。分担者(西田准教授)が従来から行ってきた逆計算モデルのTRSへの応用による論文発表および並行プログラミング言語の意味論についてワークショップでの発表を行った。また、並行計算の基本意味となる契約計算、分離論理に関する研究発表も行った。 時間経過を持つプロセス計算において、逆計算を持つ並行計算モデルにおけるRCCSおよびCCSKについて検討を行い、デバッグのための基本的な計算モデルについて検討を行った。NII湘南ミーティングにおけるMousavi教授との闘技並びに、Ulidowski准教授との議論を行い、相互に訪問して今後とも協力して研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は1年目であり、従来研究を踏まえて今後の具体的な研究方針を定めるという観点で、国際交流も含めて順調に進展していると考える。並行計算における離散時間経過が決定的であるという点が逆計算モデルにおいては重要であるという知見を得た。この知見をもとに従来手法を拡張することで並行デバッガを構成していく手法を開発する見通しが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、プロセス計算モデルを基本的なモデルとして離散時間に関する振舞いを持つ並行プログラミング言語のデバッグモデルについて研究を進める。本年度内に離散時間によるタイムアウト意味を持つ並行プログラム言語に対する逆計算デバッガのプロトタイプを作成し、効率的なデバッグ手法についての基本的な知見を得る計画である。さらに連続的な時間におけるクロックをハイブリッドシステムの特殊な場合としてモデル化することを検討する。
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