研究課題
現状の場当たり的な対策や単なる復元から脱却して根本的なネットワークの設計原理を改め、レジリエントな(しなやかな復活力を持つ)自己修復やシステム拡張を促す自律分散・自己組織化の本質的なメカニズムをネットワーク科学の観点から解明する。情報伝搬の要となるインフルエンサーへの攻撃が長いループを重点的に破壊することを逆手に取った、ネットワークの自己組織化や自己修復による適応選択的な頑健性の強化法を導き、最悪ケースの攻撃に対する互いに通信可能な連結成分の大きさを数値的に調べ、最終年度として以下の成果を得た。・従来の次数相関ではなく、ループ強化に基づくリワイヤリング法を考えることで、ループ形成の要となるフィードバック頂点集合:FVSのサイズ拡大が頑健性の向上と連動すること、及び、負の次数相関でも頑健性が高くなる、新たな知見が見つかった(学術論文1件、国内研究会2件)。また、現実のネットワーク成長の基本原理と考えられる利己的な優先的選択から脱却して、協調的な仲介に基づく自己組織化により、細胞分裂的な空間成長において(昨年度の表面成長では高次数ノードが中心に集まって弱点が分かってしまう問題点も解消しつつ)、最適な攻撃耐性を持つ玉葱状構造が創発することを実験的に示した(国際会議1件)。・攻撃や故障で機能不全となった箇所を検知した隣接ノード間を、尤も少数のリンクで形成されるループとしての輪で繋いだ後、再利用あるいは投資援助できるリンク数やポート数の資源割合に応じて、(NP困難な組合せ問題である為に、統計物理の確率伝搬法で近似的にFVSを求めて)ループ強化する自己修復法を提案し、従来の修復法より優れた頑健性や通信効率となることを数値シミュレーションから明らかにした(学術論文1件、国際会議1件)。また、この自己修復法を分散アルゴリズムで実現する為の基本的なアイデアを整理した(国際会議1件)。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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