研究課題/領域番号 |
17H01731
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
木谷 友哉 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40418786)
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研究分担者 |
羽多野 裕之 三重大学, 工学研究科, 准教授 (40402531)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高精度衛星測位 / ネットワーク型測位 / 位置情報システム |
研究実績の概要 |
本年度は,(a) 利用者側の高精度衛星測位用端末について,今年度は新たに次のようなものを開発した.小型ドローンなどに搭載することを想定したアンテナや電池を含めて100g以下の軽量であり,また無線通信機能を用いて地上局と測位状況の交信ができるものである.現時点での高精度衛星測位の最も有効な活用先の1つであるドローンについて,簡易的な構成の高精度測位モジュールを用いてもある程度の性能を出せることを実証し,防災科学技術研究所主催の低空空撮技術研究会にてチュートリアルと講演を行ない,防災現場での活用可能性の底上げを行なった.この利用者側端末では衛星による測位のみならず時刻同期情報を用いて既存の受信モジュールとセンサ類を組み合わせて数百μ秒精度で運動データやカメラ映像に時刻情報をつけられるような仕組みを提案した.このようにして位置情報のみならず時刻情報も正確にしてセンシングデータを集めることは,より少ないデータで意味のある情報を抽出することに寄与する.これらの成果は,査読付き国際学術会議論文として1件採択され,国内学術会議での口頭発表を5件行なった. 上記で作成した装置を用いて得られるフィードバック情報を用いることを想定して,(b)の地域型次世代高精度測位環境の構築では,受信した測位データから測位障害物があることを受信電波強度の差分から推定するアルゴリズムを考案して検証を行ない,昨年度までに提案していた測位精度予測システムと合わせることで,建物などの3次元地図情報を更新することができると分かった.また,天候や地盤が不安定な場所に置かれた複数の基準局からなる高精度測位インフラを運用するためのルールベース手法について検証を始めた.これらについての研究成果は査読付き国際学術会議論文として3件採択され,国内学術会議での口頭発表を1件行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(a1)ユーザ側の高精度衛星測位端末は昨年度に完了していたが,今年度は改めにドローンに搭載できるような軽量なモジュールの設計開発も行なった. (b1)「フィードバック情報からの測位障害物3 次元地図の生成」については受信電波強度の差分から測位障害物をある程度推定できることは確認できた. (b2)「対象地域の追加補正情報・測位精度予報情報の生成」について開発していたシステムに組み込むことにより,主たる測位障害物である建物などの3次元地図の情報が古くても,提案手法によって更新できることが確認できた. 研究分担者の異動により研究分担者の実証フィールドは宇都宮近郊から三重県津市近郊に移した. 全体的に研究計画としては順調に推移している.
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今後の研究の推進方策 |
申請書の計画から大きく外れるような内容はない.(a) ユーザ側高精度測位端末の開発について,(a1) 測位状況フィードバック機能の実装,(a2) 追加補正情報を利用した高精度測位アルゴリズムの考案,および(b) 地域型次世代高精度測位環境の構築について (b1) フィードバック情報からの測位障害物3次元地図の生成,(b2) 対象地域の追加補正情報・測位精度予報情報の生成については,さらなるブラッシュアップに努める. また,最終年度では計画の中で残っている (b3) 追加補正情報・測位精度予報の配信については,申請書の内容に沿って計画を遂行していく. またそれとあわせて,高精度衛星測位の有用性を高めるためには以下の内容について取り組むことが必要と考えている.行政機関などが管理する基準局と比べて,今後の高精度衛星測位の利用シーンではもっと信頼性の低い複数の基準局を使うことが想定される.そんな場合において勝手基準局網の信頼性を上げるための基準局網側,ユーザ受信局側での運用アルゴリズムについての研究を行なう.
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