研究課題/領域番号 |
17H01758
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
岩木 直 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 副研究部門長 (70356525)
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研究分担者 |
梅村 浩之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (10356587)
熊田 孝恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70221942)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 空間的イメージ操作 / 認知課題トレーニング / fMRI / 背側視覚系 / 腹側視覚系 / 前頭前野 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,空間的イメージの仮想的操作のパフォーマンスが訓練により向上する神経メカニズムを,非侵襲脳機能計測技術を用いて計測・解析するとともに,その訓練効果がどのような機序で直接訓練されていない認知機能に及び,さらに日常生活中に空間的イメージ操作が必要とされる場面での行動能力に波及するのかを予測することが可能な認知神経学的モデルを構築することである. 上記の目的に向けて,今年度は,空間的イメージ操作課題の訓練効果について,2週間程度のタブレットアプリを用いた訓練の結果生じる脳神経活動の変化を検出するためのfMRIを用いた脳活動計測と課題パフォーマンスの計測を行った.この結果,認知課題訓練実施前に比べて,(a) トレーニング後に,空間処理を担う背側視覚系(dorsal visual system)とくにPOJ (Parieto-occipital junction), SPL(Superior-parietal lobule), IPL(Inferior parietal lobule)の活動が有意に増加すること,(b) トレーニング後に,物体の形などの処理を担う腹側視覚系(ventral visual system)と前頭前野(MFG: middle frontal gyrus, IFG: inferior frontal gyrus)で活動が有意に減少することを示唆する結果を得た. これらの結果は,空間的イメージの仮想的操作に直接かかわる視空間処理を担う脳部位(背側視覚系)の活動がトレーニングにより増大する一方で,空間的イメージの仮想的操作に直接関係しない実行機能やオブジェクト視覚処理の活動の必要度が低くなり,それらを担う脳活動が減少したものと考察される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の拡大により,ヒトを対象とした実験ができる期間が限定され,その期間内に2週間程度の認知課題トレーニングを含む長期間の実験実施を予定通り進めすことをが難しく,予定に遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
現在推進中の2020度計画で,高齢者に対する日常的な空間認知処理課題トレーニングの効果と,その前後の脳活動の変化を明らかにする実験を実施中である.トレーニング前後で脳活動が顕著に変化する部位を特定し,個人特性が及ぼす影響を評価する. 人を対象とした実験の安全を確保するための感染症対策と,実験の進捗を両立させるため, 実験実施可能な時機に集中してデータ取得を進めるなどスケジュール上の調整に配慮する.
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