研究課題/領域番号 |
17H01770
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平田 泰久 東北大学, 工学研究科, 教授 (20323040)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ウェアラブル機器 |
研究実績の概要 |
本研究では,手首や上腕部の周囲に複数の振動モータを配置することを考え,その配置された振動モータを順番に駆動することで人間へ目標となる運動方向を呈示する手法を提案した.振動強度や振動持続時間などを協調的に制御することで一連の振動刺激をある方向に向かう力の呈示として人間に知覚させることで,人間にどの方向に手を動かせばよいかを直観的に呈示することが可能となった. また,少ない振動モータを用いて適切に人間に目標運動方向を呈示させることが可能な制御手法を開発した.過去の研究において,複数の振動モータを協調的に用いるとファントムセンセーションと呼ばれる錯覚現象が発生し,振動モータが付いていない部位に振動や力覚を感じることが報告されている.また,隣り合った振動モータの振動持続時間を調整することによりあたかも知覚ポイントが動いているように感じるという結果も報告されている.本研究ではこれらの知見を利用し,複数の振動刺激の協調によって実際に振動刺激を付与する点とは異なる身体部位において人間に目標運動方向を呈示させる制御手法を開発した. そのほか,人間の手首には,尺骨,橈骨が存在し,その近傍では振動を知覚しやすく,それ以外の場所は振動を知覚しにくいということが知られている.そこで,各振動モータの位置を調整しながら目標方向呈示実験を行うことで,適切な振動モータの数やその配置を検討した.さらに,振動の強度や周期を取り付け部位によって変化させることによって運動方向の知覚精度が向上するか検討を行った. 構築したデバイスやその制御アルゴリズム等の成果をまとめ,国内学会,国際学会,ジャーナル等で発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,身体の複数点への振動刺激付与による人間への直観的な目標運動方向の呈示を目的として研究を行ってきたが,複数の振動モータの協調制御による目標運動方向呈示手法を提案することができ,研究の最も重要な最初の一歩を踏むことができた.また,関連して,錯覚現象を利用した運動方向呈示手法の提案や人間の知覚特性を考慮したモータ配置および振動刺激制御手法の検討を行うことができ,順調に研究が進捗した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度開発した目標運動方向呈示手法を応用し,手首に取り付ける振動モータ付きリストバントデバイスを開発する.手首に目標運動方向を呈示することで,人間の手先の位置を制御することを目指す.また,ゴルフの素振りのように予め知っている運動に対して目標(理想)フォームの運動軌道を用意するとともに,人間の動作を実時間で計測するモーションキャプチャを用意し,理想フォームと人間の実際の運動との差異を計測する.その差異に基づき人間の実際の運動を理想フォームに近づけるための人間の各部位の目標運動軌道を導出し,軌道上の各点における目標方向として振動刺激を用いて人間に呈示することを目指す.
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