本年度は,環境情報に応じて人がより動的に運動することを可能とする運動教示システムの開発を行った.初めに,陸上競技場のような広い場所において,カメラを搭載したドローンで走行レーンを計測し,そのレーンに沿って人が走行することを支援するシステムを開発した.画像データから対象者の自己位置と走行レーンを検出し,これまで開発してきた振動型ウェアラブルデバイスによって目標方向に対象者をガイドすることによって,走行レーンに沿って目隠しをした人をガイドできることを示した.この技術は,視覚に障がいがある方でも,他のパートナーの助けを借りることなく走行することを可能にする技術に発展させることができる. また,より技能を必要とする運動教示を実現するためのシステムを開発した.これは,プロジェクターによって地面に投影された映像と振動型ウェアラブルデバイスから成るシステムであり,技能習得者に目標運動方向や手足の動作方法を提示することがができる.これにより,ダンスの足運びといった技能を必要とする運動を教示することを可能とした. さらに,集団スポーツや集団でのダンスといった複数人の同期した運動が必要となる動作を,複数人に取り付けられた振動型ウェアラブルデバイスによって運動教示するシステムを開発した.カメラの映像を画像処理することにより競技者個人を認識し,互いの位置関係を調整するように振動型ウェアラブルデバイスを動作させた.これにより複数人が目的のフォーメーションに沿って運動することや,スポーツにおいて誰が誰のマークをすべきかといったコーチングを実現するシステムの開発を行った. 上記すべてのシステムにおいて実機を用いた実験を行い,それらの有効性および発展性を確認した.
|