研究課題/領域番号 |
17H01771
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
葛岡 英明 筑波大学, システム情報系, 教授 (10241796)
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研究分担者 |
角 康之 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (30362578)
大槻 麻衣 筑波大学, システム情報系, 助教 (30609095)
小池 英樹 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (70234664)
山下 直美 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主任研究員 (70396141)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 遠隔コミュニケーション / ヒューマンコンピュータインタラクション / グループウェア |
研究実績の概要 |
超時間制御に関する研究ついては、前年度制作した実験環境を利用して、ローカル参加者が遠隔の参加者に対して、テレビ会議システムを介して、ローカル環境にある対象物を指さしをする実験を実施した。今後はこの実験データを利用して、パラメータの抽出と適切な機械学習手法の選定をおこない、指さし行動の事前推定精度を計測する予定である。 全周映像を活用した超空間端末の開発に関しては、球面ディスプレイと全周カメラを組み合わせた、双方向型テレコミュニケーションシステムであるOmniGlobeを開発した。前年度と比較して、半球面から全球面への拡張、球形ディスプレイを物理的に回転させたりタッチ操作をすることによって、映像を回転させる機能の追加、そして遠隔参照の機能を追加した。このシステムを利用して遠隔コミュニケーションの実験を実施し、定量的評価と定性的評価による分析をおこなった。その結果、物理的に球面ディスプレイを回転させる機能が直感的で有効であることがわかった。この研究成果は、Human-Computer Interactionの分野におけるトップカンファレンスである、DIS 2019に投稿中である。 もう1つの超空間端末であるOmniEyePendantに関しては、ユーザが胸部に装着したカメラに撮影された他者の顔の数を自動的に計測することで、装着者の社会的活動量を推定する技術を提案した。この推定値は、撮影されたビデオ映像にを観察しながら当人及び第三者による主観評価した結果と強い正の相関があることから、提案手法が有効である可能性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超時間制御に関しては、前年度構築したシステムを活用することによって、遠隔指さし実験を実施し、機械学習用のデータを取得することができた。本来は前年度までに機械学習を実施している予定であったため、この項目については進捗がやや遅れている。 超空間端末のOmniGlobeに関しては、前年度の実験結果に基づいてシステムを発展させることができた。特に遠隔参照機能は、当初の予定通り開発できた。また、このシステムを利用した遠隔対話実験を2種類実施することができた上に、そのうち1つは定量的分析と定性的分析を組み合わせたハイブリッドな分析をおこない、その結果はトップカンファレンスに投稿中である。これらのことから、期待以上の成果を挙げている。 もう1つの超空間端末であるOmniEyePendantの研究については、当初の計画にはなかった利用方法へと発展しており、これも期待以上の成果を挙げていると考えられる。 以上の進捗を総合すると、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
超時間制御に関してはデータの分析を進めて、人の指示動作の予期を試みる。このために適切な学習用パラメータと学習器を決定する必要がある。パラメータは間接座標の時系列データを考えている。また、学習器はDVマッチング、k近傍法、サポートベクターマシンを比較検討する予定である。 超空間端末であるOmniGlobeについては、前年度の実験において、遠隔参照機能に見られたユーザビリティの問題を解決するために、ユーザインタフェースの改善を行う予定である。また、前年度実施した実験のエスノメソドロジー的な分析を進めて、論文化することを計画している。OmniEyePendantについては、カメラの視野角を広角化することによって、社会活動量の推定精度を向上することを試みる。
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