研究課題
本年度は,一人称視点映像によるケアの熟練者・初学者の違いの解析手法の開発を行い,統計的処理を行い,初学者・熟練者のFace-to-faceコミュニケーションがどのように異なるのか,また,初学者の行動がどのように変化するかを検出する方法を開発し,実際に,データセットを構築することで熟練度合いの変化を検出することが可能になった.具体的には,一人称視点映像から被介護者との相対的な顔距離および姿勢(3軸回転)を検出し,介護者/被介護者の間の顔の距離,アイコンタクト頻度,顔姿勢が,両者の間でどのような統計的違いがあるかを明らかにした.これにより,介護中の「見つめる」動作をスキルスコア化し,介護スキルセルフトレーニングシステムの開発につなげることが可能になった.また,本年度では同時に,1)介護者の表情の違いが被介護者(ベットで寝ている人)に対してどのような影響を及ぼすか,2)被介護者のケア介入による認知機能変化の計測,について試行実験を行った.具体的には,1)についてはバーチャルリアリティシステムにより,介護者が被介護者にアプローチする状況を再現するシステムを構築し,様々な表情変化や顔の近づけ方の違いにより,受け手(被介護者側)にどのような認知的差異が生じるかを計測する実験環境を作成した.2)については,研究協力者とともにウェアラブル表情筋センサを用いて表情の変化を計測する実験を行い,優しい介護の社会的刺激により,どのように被介護者が活性化されるか,また,熟練者・初学者の間でどのような表情の違いがあるかを計測する実験を試行し,研究の目安を付けた.
2: おおむね順調に進展している
一人称視点映像からの熟練者/初学者間のスキルの違いについては統計的にも明確な違いが見られ,また初学者の介護学習後の変化についても違いが見られた.これにより,「見る」スキルスコアを数値化できたので,介護訓練システムに役立たせることが可能になった.一方で,マルチモーダル(音声/表情)については研究を更に進める必要がある.
初学者/熟練者の変化については,更に大規模なデータを集め,どのような学習群でスキル習熟が違うのかを明確にする必要がある.また,表情の解析については画像ベースのものを使ってみたが明確な違いが見られないため,表情筋ベースで研究を進める予定である.また,被介護者に対する表情認知をシミュレーションするバーチャルリアリティシステムを構築したため,これにより,顔間距離,姿勢やアイコンタクトの有無がどのように被介護者の表情認知に影響を及ぼすかを調査し,介護スキルの有効性の検証を行っていく予定である.
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2018 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics (SMC)
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