研究課題/領域番号 |
17H01792
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
来村 徳信 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (20252710)
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研究分担者 |
溝口 理一郎 北陸先端科学技術大学院大学, その他, フェロー (20116106)
古崎 晃司 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (00362624)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オントロジー / プロセスデザイン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,サービスと製造プロセスを設計(デザイン)する際に,プロセスの時間的順序関係だけではなく不具合などの多様な側面を考慮し(マルチファセット統合),実行・製造プロセスだけではなく特性発現・評価プロセスなどの多段なフェーズを一気通貫に俯瞰して(マルチフェーズ統合),特定の側面に適応的に注目する(ファセット適応)ことを支援することである. 本年度では,まずこれまでのファセットオントロジーの考察と構築に基づいて,様々なプロセスをデザイン(設計・計画)する理論を考察した.ファセットオントロジーはデザインにおける目的や条件といった注目する側面を表すため,それに基づいてプロセスの達成方式を選択・決定する枠組みを一般的に考察した.達成方式を選択するための条件にはさまざまな記述パターンがあることを同定し,特に複雑な条件の場合には,達成方式自体を決定するメタ的なプロセス分解木(方式決定木と呼ぶ)を記述する枠組みを同定した.方式決定木のリーフノードには直接観測可能な状態などの要因が記述され,それを組み合わせて達成方式を選択・決定することで,複雑な条件に沿ったプロセスのデザインが可能になることを明らかにした. 次に,上記の方法論のソフトウェア実装として,一般的に,方式決定木を読みこんで,ユーザの入力した条件にそって適切な達成方式を選択し,プロセス木を構成して提示するプロトタイプシステムを開発した.また,看護プロセスに関して,現場で用いられている看護計画書の一部に対応する内容として,手術後の理想的な回復過程の知識モデルを記述し,それに基づいて患者の状態の評価が可能になるようなプロトタイプシステムの検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度においては対象を看護サービスに絞り,研究2年目においては計画通り考察対象を他分野における様々なプロセスに広げて,それらの分野におけるファセットの同定を行うとともに,それらの共通性と相違点を明らかにした.今年度においては,それらのファセットに基づいたプロセスの達成方式の選択に注目し,一般的な選択基準の記述方法として,方式決定木として記述する方法を同定し,それを用いて達成方式を選択してプロセス木を構成する枠組みと,プロトタイプシステムを開発した.また,看護分野におけるより実践的なプロセス実施に向けて,患者の状態を評価するプロセスのための知識モデルの記述とその利用について,考察を行った.これは,目標としている様々な分野のプロセスデザイン支援に向けて,一般的なプロセス構成の方法と,実践的な評価プロセスに関する知見を明らかにできたということができ,研究は順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
これまでのフェーズとファセットに関するオントロジー的考察に基づいて,プロセスを適応的にデザイン(設計・計画)する理論を構築する.ユーザがデザインにおける目的や状況・条件などをファセットとフェーズの概念を用いて入力することで,それに適応的にプロセスの系列(計画)を構成し,それらの関係性や理由・留意点などを提示するような理論を構築する. また,そのソフトウェア実装として,ファセットオントロジーを読み込んで,一般的にプロセス分解木を適応的に構成して提示するシステムを実現する.また,看護分野の行為・評価プロセスを患者の状況などに応じてより適応的に構成して提示するシステムを実現する.
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