研究課題/領域番号 |
17H01844
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研究機関 | 特定非営利活動法人サイバー・キャンパス・コンソーシアムTIES(附置研究所) |
研究代表者 |
堀 真寿美 特定非営利活動法人サイバー・キャンパス・コンソーシアムTIES(附置研究所), 附置研究所, 主任研究員 (00778037)
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研究分担者 |
小野 成志 特定非営利活動法人サイバー・キャンパス・コンソーシアムTIES(附置研究所), 附置研究所, 非常勤研究員 (10793820)
喜多 敏博 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (20284739)
宮下 健輔 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (50289138)
宮原 大樹 山梨大学, 工学部, 助手 (60604684)
小林 信三 特定非営利活動法人サイバー・キャンパス・コンソーシアムTIES(附置研究所), 附置研究所, 非常勤研究員 (70793842)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ブロックチェーン / 学習支援システム / 電子書籍 / オープンエデュケーション / コンテンツカプセル |
研究実績の概要 |
本研究は,ブロックチェーン技術を用いた学習支援システムを構築し,発展途上国の多様な事情に対して適切に対応できる学習支援システムを構築するとともに,教育分野におけるブロックチェーンの可能性を検証することを目的としている. 平成30年度は,学習支援システムのための概念モデルとして,学習者の学習成果が自身の報酬につながる「学習経済」という独自の学習モデルを開発した.さらに,学習経済モデルに基づき,平成29年度までに開発していた学習支援システムに,(1)学習者がSNSに投稿した学習成果をブロックチェーン記録する,(2)記録された学習成果を素材とした学習コンテンツを制作する,(3)知財を管理しながら学習コンテンツを販売する,(4)仮想通貨による収益が学習者に還元される,という四機能を追加し,実証実験を行った. 実証実験では,研究代表者が所属する研究室スタッフ15名を対象に,職場での気づきを学習成果としてSNSに投稿し,何らかの学習コンテンツが作成できるか,獲得する仮想通貨が,参加者のモチベーションにつながるのか,検証を行った.その結果,学習経済モデルの意義は,従来目的としていた,発展途上国の教育における経済的課題を解決するばかりでなく,先進国においても,学習者の学びに対するモチベーションを高めることを可能にすることが確認できた.一方で,(1)SNSをユーザーインターフェースとして学習成果を集めているため,中にはフェイクと言われる投稿も混じる可能性があり,さらにSNSに投稿する短い文書の中に,学習コンテンツとして利用可能な内容を埋め込むことは難しいため,学習コンテンツとしての質的な限界が発生すること,(2)SNSをまとめて学習コンテンツを制作するには,相当の労力が必要である,といった二つの課題も明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の当初計画では,共同研究者が所属先大学の学生に対する実証実験を行うこととしたが,参加者のログの取得が容易であり,実験後のインタビューなどの実施により,より詳細なデータを得るために,所属機関内スタッフに対しての実証実験を実施した. この結果,当初計画していたブロックチェーンの技術的特性の検証,学習支援システムのユーザビリティや学習者のモチベーションに関する検証を計画通り実現することができた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに,ブロックチェーン技術を用いることで,学習コンテンツの知財管理と取引の仕組が比較的容易に構築できること,そして仮想通貨を学習環境に取り入れることにより,発展途上国の教育における経済的課題を解決するばかりでなく,先進国においても,学習者の学びに対するモチベーションを高めることが明らかとなってきた. 一方で,現在の実験のための実装に関しては,SNSに投稿された学習成果だけを素材にした学習コンテンツの質的な限界,そして人手による学習コンテンツ制作の労力的な限界といった2点が,課題であることが明らかとなった. 今後,実装におけるこの二つ課題を解決するため以下を実施する. (1)学習成果の対象範囲を,SNSだけではなく学習者がWebに投稿したブログや動画などに拡大し,学習者のより多様な活動を学習成果として評価するとともに,質の高い学習コンテンツとして流通できるようにする. (2)学習コンテンツの制作を効率的に行うための,学習成果へのメタデータの付与,検索機能の強化,ある程度の自動制作を検討する.
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