研究課題/領域番号 |
17H01849
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 守 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50373452)
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研究分担者 |
檜山 哲哉 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (30283451)
アバタル ラム 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (90648057)
飯島 慈裕 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80392934)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 永久凍土 / 生態資源 / 地図化 / リモートセンシング / 現地観測 |
研究実績の概要 |
1.永久凍土分布地図化:モンゴルにて広域展開している観測網から地温データを取得し、既に得たデータと時系列的に繋ぎ合わせ、永久凍土の動態を示す様々なパラメータ(活動層厚、年間地温振動幅、地温鉛直勾配、年平均地温など)を各観測サイトについて算出した。 2.陸水動態解析:ハンガイ山脈の湧水地点を1960年代に発行された官製地図を基にマッピングし、データをGIS形式に変換した。一部については現地で住民に聞き取り調査を実施し、科学的な観測では得られない情報を得た。改めて湧水の動態に対して住民が絶えず注意していることを認識した。ハンガイ山脈北部・南部の代表的な湧水2地点から水試料を採取し、トリチウムやCFCといった地下水年代の指標を分析した。 3.森林動態解析:官製地図に描かれている1960年代の森林域をデジタイズしGISデータに変換した。 4.凍土地形変動解析:モンゴル北部のダルハッド地域、ハンガイ山脈北部および南部において河川氾濫原や湖沼近傍といった地下氷量が多いところを対象に、2006年から2011年にかけて撮影されたALOSのSAR画像データを取得した。画像データにSARScapeを用いた干渉解析を施し、地形変動量の分布を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.永久凍土地図化:いくつかの地点にてデータロガーやセンサーの不調があり、データ欠測が生じたが、これまでに蓄積したデータによって補完することにより、永久凍土の様態・動態を示すパラメーターはほぼ算出することが出来た。本サブテーマの進捗はおおむね順調である。 2.陸水動態解析:1000箇所以上の湧水地点をプロットし、国際永久凍土学会が発行している環北極域永久凍土分布図との対応を評価したところ、湧水は、不連続永久凍土帯では多くが分布する他方、点在域や非永久凍土域ではあまり存在しないことが分かった。地下水の年代分析によると、湧水はそのほとんどが古い時代に形成された地下氷が融解したものから構成されていることが分かった。本サブテーマの進捗は当初の計画以上に進捗している。 3.森林動態解析:過去数十年前の森林分布を把握したが、それ以上の進捗は得られず、進展はやや遅れている。 4.凍土地形変動解析:InSAR解析によって年間で数センチメートル程度での地盤の隆起や沈下が生じていることが示された。連続永久凍土帯では広域的に隆起していたが、点在・孤立的永久凍土分布域では点在する湖沼の縁辺部のみにて地盤が有意に変動していた。ほぼ計画通りで順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.永久凍土地図化:観測ベースで得られた知見を取りまとめ論文を投稿する。また地図化については、気候や土壌物性に関わるデータの収集、適用すべきモデルの選定とその改変などを海外の研究協力者とともに進める。 2.陸水動態解析:湧水地点の現況を調べる。すべての湧水を現地訪問すること歯不可能なので適宜空中写真などを適用しなるべく悉皆的に調査する。 3.森林動態解析:USGSなどにアーカイブされている森林分布のプロダクツと過去の森林分布とを比較する方針であったが、森林プロダクツに精度上の問題点があること、両者の凡例に齟齬があることなどが分かってきた。1970年代からのLANDSATデータを基に森林変遷を我々自身で再構築すれば精度良く解析出来るが、そのための作業自動化などを検討する。 4.凍土地形変動解析:2014年以降のSAR画像データ(ALOS-2)を収集・解析する。さらに解析対象領域間の気候条件の差異や永久凍土温度などを併せて、領域間での変動の違いが何に起因するのかを評価する。
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