研究実績の概要 |
1. アルゴリズムの開発。リモートセンシングデータによる湖水総吸収係数の推定は、湖沼一次生産量推定の第1ステップである。前年度までは、湖水の濁度レベルによって、湖水総吸収係数を推定するためのモデルの仮定が異なることが明らかにした。今年度は、湖水の濁度レベルに応じて、最適な推定モデルを選定できるハイブリッド方式のアルゴリズムを開発した(QAA_hybrid)。このハイブリッド方式のアルゴリズムを用いれば、様々な濁度レベルの湖沼への適用が可能となる。次年度は、湖水の消散係数、有光層水深および一次生産量の推定を試みる。 2.現地データの収集。今年度は、霞ケ浦、檜原湖、白樺湖、女神湖、蓼科湖、諏訪湖、千波湖、およびインドネシアの8湖沼(Lake Maninjau, Lake Singkarak, Lake Diatas, Lake Dibawah, Lake Buyan, Lake Bratan, Lake Tamblingan, Lake Batur)を対象に、現地調査を行い、湖水の分光反射率、各波長域の消散係数および鉛直方向の変化、有光層水深、透明度などのデータを収集した。同時に、湖水のサンプルも採集し、実験室で湖水の固有光学特性、クロロフィルa濃度、総懸濁物濃度を測定した。また、文献調査によって、一次生産量のデータを収集した。これらのデータは、アルゴリズムの改良および推定結果の検証に使用する予定である。 3.衛星データの収集と前処理。前年度に引き続き、面積100㎞2以上の湖沼のMERISデータおよびOLCIデータを収集し、水域の抽出、雲・雲の影の検出などの前処理を行った。大気補正は依然として課題であることを確認した。
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