研究課題/領域番号 |
17H01850
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松下 文経 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (80361319)
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研究分担者 |
楊 偉 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 特任助教 (80725044)
福島 武彦 茨城県霞ケ浦環境科学センター(湖沼環境研究室、大気・化学物質研究室), 湖沼環境研究室, センター長 (90124354)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 一次生産量 / 植物プランクトン / 吸収係数 / クロロフィルa濃度 / 炭素固定率 |
研究実績の概要 |
1. アルゴリズムの開発。リモートセンシングデータによる水域の一次生産量を推定するためのアルゴリズムは、主に3種類がある。すなわち、クロロフィルa濃度をベースにしたVGPMモデル、炭素量をベースにしたCbPMモデル、と植物プランクトンの吸収係数をベースしたAbPMモデルである。しかし、この3種類のモデルは、全て海洋のような単純な光学特性を持つ水域のために開発されたもので、沿岸水域や湖沼などの複雑な光学特性を持つ水域において、どのぐらい適用できるのは不明である。そこで、本研究では、霞ケ浦データベースを用いて、3種類のモデルのパフォーマンスを評価した。その結果、(1)VGPMモデルとAbPMモデルは霞ケ浦に適用できる可能性が高い、(2)CbPMモデルは湖沼への適用が困難である、(3)湖沼の場合、VGPMモデルの水柱最大炭素固定率(PBopt)は、水温以外に、クロロフィルa濃度と有光層深にも関連する、(4)湖沼ためのAbPMモデルの正味炭素固定の最大量子使用量と光飽和係数は、植物プランクトンの吸収係数以外に、水温、有光層深、および太陽入射量にも関連する、などを明らかにした。 2.現地データの収集。今年度は、印旛沼、中禅寺湖、菅沼、湯の湖、阿寒湖、屈斜路湖、猪苗代湖、および霞ケ浦を対象に、現地調査を行い、湖水の分光反射率、各波長域の消散係数および鉛直方向の変化、有光層水深、透明度などのデータを収集した。同時に、湖水のサンプルも採集し、実験室で湖水の固有光学特性、クロロフィルa濃度、総懸濁物濃度を測定した。また、文献調査によって、一次生産量のデータを収集した。 3.衛星データの収集と前処理。前年度に引き続き、面積100㎞2以上の湖沼のMERISデータおよびOLCIデータを収集し、水域の抽出、雲・雲の影の検出などの前処理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、台風やコロナウイルスの影響で、計画した海外湖沼の調査は予定通りできなかったが、国内湖沼の現地調査や、衛星データの収集を予定通りで行った。また、湖水一次生産量を推定するためのアルゴリズムの開発も順調に進み、一部の結果は既に国際誌に掲載された。プロダクトの製作まで、大気補正は依然として大きな課題である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、現地調査によって、様々な湖沼の基礎データを収集する。また、衛星データの収集と前処理も継続する。また、今まで蓄積してきた衛星データと開発されてきた一次生産量の推定アルゴリズムを合わせて、湖沼一次生産量プロダクトの作成を試みる。
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