研究課題
アイスコアに保存されている現在から12500年前までの15試料のアイスコアからシークエンスした古代メタゲノム配列データの時系列ゲノム解析をおこない,当時の微生物群集の集団構造や機能の再構成をおこなった.メタゲノムサンプルごとの系統組成と遺伝子機能組成,さらには系統ごとに所持する遺伝子機能を推定し,各サンプルの微生物群集の系統組成と遺伝子機能組成の推定,遺伝的多様性と遺伝的分化度の経時的な変化の解析を実地した.また,時系列ごとにアイスコア試料中の各種微生物や病原菌,抗生物質耐性遺伝子など定量解析のために,ハイスループット定量的PCRを実地し,高時間分解能での解析をおこない,気候イベントとの関連性を解析した.さらに,アイスコアに封じ込められたシアノバクテリア叢の遺伝的多様性と遺伝的分化度の経時的な変化を推定することで,集団サイズの増減や集団の交代といった生物学的イベントと環境変動との関連性を調べた.シアノバクテリアをはじめとする原核生物の突然変異率はほとんど研究が進んでいないが,本研究ではアイスコア由来の年代の古いサンプルを用いることで突然変異率の推定に成功した.古代試料由来の配列と現在の配列との間に信頼できる突然変異率を推定するだけの充分な塩基置換数があるのか,そして古代試料由来の配列は現生試料からのコンタミネーションである可能性を評価する目的で新しい統計的検定法を分子進化モデルの枠組みで考案した.その結果,本研究で推定された突然変異率はコンタミネーションによるものではなく,統計的に十分な量の塩基置換数に基づいて推定された値であることが明らかとなった.さらに年代の古い試料からの分子進化解析を推進させ,現生DNAのコンタミネーションを評価するために,この分子進化モデル選択に基づく統計的検定法を実際の問題への適用を実施した.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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