研究課題
1.衛星水温を用いた潮汐フロント解析: ひまわり8号による高頻度・高解像度(毎時、水平解像度2km)の表面水温データを用いて潮流変化に伴う潮汐フロント変化について解析した。これまで観測してきた伊予灘に比べ豊後水道における潮汐フロントが明瞭であること、潮流変化に応じて潮汐フロントが数時間で約10kmも移動すること、下げ潮時に混合域が成層域に進入する際に潮汐フロントが強化され、上げ潮時に成層域が混合域へ進入する際には潮汐フロントが弱まることが明らかとなった。2.潮汐フロント周辺における数値モデル解析: 鉛直方向の時空間変化について解析するために、数値モデルMITgcm(潮汐[M2, S2]、佐田岬周辺海域を東西160km x 南北50km、水平解像度1km、鉛直解像度3m)を用いた数値解析を実施した。その結果、下げ潮時には、混合域の高密度な混合水が壁のように成層域に進入し、潮汐フロントが表層で強化されるだけではなく亜表層までその影響が及ぶことが示唆された。上げ潮時には、成層域の低密度な表層水が混合域の表層を滑る様に進入し、その影響は極表層にのみ及ぶことが示唆された。3.潮汐フロント周辺における超高解像度観測: 先の衛星解析とモデル解析により得られた知見を検証するために、新たに豊後水道における高頻度・超高解像度(100分間で25kmの観測ラインを水平解像度1.7kmにて、フロント周辺では水平解像度数十mにて)の多項目観測を実施した。その結果、フロントの極近傍では、現在の衛星や数値モデルでは解像不可能なわずか数十mで水塊構造が劇的に変化することが明らかとなり、数値モデルで示唆されていた潮汐フロントの時空間変化を捉えることに成功した。また、混合域の進入に伴い亜表層から供給された栄養塩が近傍の成層域側において植物プランクトンに利用され生産性が高まっていることが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 8件、 招待講演 3件)
Ocean Science
巻: 18 ページ: 659~673
10.5194/os-18-659-2022
Remote Sensing
巻: 13 ページ: 1840~1840
10.3390/rs13091840
Geophysical Research Letters
巻: 48 ページ: 1-11
10.1029/2020GL092063
瀬戸内海
巻: 81 ページ: 74-77
気象研究ノート
巻: 244 ページ: 1-32
NIPPON SUISAN GAKKAISHI
巻: 87 ページ: 144~159
10.2331/suisan.20-00055
Biogeosciences
巻: 17 ページ: 2441~2452
10.5194/bg-17-2441-2020
Fisheries Oceanography
巻: 29 ページ: 442~456
10.1111/fog.12488
Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers
巻: 163 ページ: 103337~103337
10.1016/j.dsr.2020.103337
環境情報科学
巻: 49(1) ページ: 21-27