研究課題
本研究では、魚粉および魚油試料におけるダイオキシン受容体(AhR)リガンド量を遺伝子組み換え酵母を用いてアッセイし、化学分析より算出したPAHsならびにハロゲン化PAHs(HPAHs)濃度におけるAhR活性の寄与率の算出を試みた。その結果、魚粉試料におけるAhR活性の0.5~57%がPAHsならびにHPAHsに起因しており、試料によって大きく異なることが明らかとなった。また、魚粉試料中のPAHs蓄積量が増加するにつれて、AhR活性の寄与率が増加した。一方、HPAHsでは蓄積量とAhR活性寄与率に明確な関係が認められなかったことから、AhRリガンドにおいてPAHsはAhR活性に大きく影響を及ぼすことが示唆された。さらに、魚油試料では、PAHsならびにHPAHsのAhR寄与率は0.5~25%であり、魚粉試料よりも低い割合であった。このことから、魚油にはPAHsならびにHPAHs以外のAhRリガンドが多く存在していることが示唆された。さらに、試料中の脂質含量とAhR活性の関係を調べた結果、脂質含量が増加するにつれてAhR活性が低下する傾向が見られた。PAHsならびにHPAHs蓄積量とは明確な関係が認められなかったことから、脂質中に含まれるAhRリガンドによる活性阻害等の影響が考えられるが、明確な原因解明には至っていない。次に、重回帰分析を用いて化学分析で得られた各PAHs、HPAHsの蓄積量からAhR活性を予測する計算モデルの構築を試みた。その結果、魚粉ではBePと1-ClPyの蓄積量からAhR活性を67%の精度で予測できることが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020
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