研究課題
大気中の二次有機エアロゾル(SOA)の主要なソースの一つである植物起源有機化合物のα-及びβ-ピネンを用いたチャンバー実験を実施するとともに、昨年実施した野外観測のデータ解析を行った。チャンバーで生成したSOAの化学組成に関する新規の情報をオンライン型分析装置を用いて取得するとともに、野外大気観測における加熱脱着陽子移動反応質量分析(TD-PTRMS)装置の実用性を検証することを目的とした。α-及びβ-ピネンのオゾン分解で生成するSOAをTD-PTRMSにより測定した。α-及びβ-ピネンのオゾン分解で生成したピン酸、ピノン酸、テルペニル酸、及びダイマー(m/z 323、313、309、及び285)やそのほかの生成物の濃度の時間変化をガス成分と粒子成分とに分けて測定した。測定された生成物のガス‐粒子分配比や生成の時間プロフィルの測定から、生成物の飽和蒸気圧を評価し、生成メカニズムを考察した。2018年8月に京都大学吉田キャンパスにおいてTD-PTRMSを用いて野外観測を行った。この野外観測期間中の8月28日に高濃度の汚染物質イベントが観測された日に得られた結果を用いて、データ解析を行った。m/z121、129、137、143、155、157、及び169等の質量数に大気有機エアロゾル由来の信号が検出された。測定結果から、本研究で作成した加熱脱着装置を備えたTD-PTRMS装置が大気観測に応用可能であることが示された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Atmospheric Chemistry and Physics
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