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2017 年度 実績報告書

反応性窒素動態を統合的に扱う陸域物質循環モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H01867
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

伊藤 昭彦  国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (70344273)

研究分担者 豊田 栄  東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30313357)
仁科 一哉  国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (60637776)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード一酸化二窒素 / 窒素動態 / 安定同位体 / 生物地球化学モデル / 窒素管理
研究実績の概要

主に陸域における反応性窒素(硝酸態、アンモニア態、有機態など大気N2を除く活性の高い窒素)の動態を統合的に扱うモデル開発に向けた研究を実施した。ベースとなるVISITモデルで使われてきたスキームを再考した。例えば硝化に伴う一酸化二窒素放出の割合について、これまで経験的な定数パラメータで与えられてきたが、文献値のメタ分析および他の窒素動態モデルでの関数化状況を参照して観測により近い推定が可能な方法を検討した。複数のパラメータ値と関数を設定した感度実験を行い、全球スケールの陸域起源一酸化二窒素放出に与える影響を調べた。N2Oの主要な発生プロセスである微生物の代謝過程について、細菌、古細菌、糸状菌(カビ)など反応を担う微生物に関する最新の知見を整理した。硝化細菌の純粋培養実験系を構築し、15Nの分子内分布を利用してN2Oの生成過程が環境条件に呼応してどのように変化するかを調べる準備を整えた。また、VISITモデルの15Nスキーム導入のための、文献収集と定式化を進めた。さらに、土壌凍結が生じるような寒冷条件での土壌窒素無機化速度について、モデル中での温度依存性や炭素動態とのリンクについて検討を行った。微生物による不動化、植物による窒素吸収との関係など無機化に関わる複雑な要因が絡む様相が明らかとなってきた。東アジア地域については、現行モデルによる一酸化二窒素放出量の分布と時間変化をシミュレートし、過去の放出増加状況、放出強度の高い地域、窒素投入量に対するガス放出量の割合などの特徴を調べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、ベースとなる陸域生態系の生物地球化学モデルVISITについて個々のプロセスを再検討し、全体的な窒素循環のシミュレーション精度を高めるための作業を実施した。モデルの感度実験、メタ分析、同位体を用いた検討などを計画通りに進めることができた。硝化由来の一酸化二窒素放出量のメタ分析については、H29年度中に一通りの作業を終えて論文執筆を開始することができた。また、東アジア地域の一酸化二窒素放出量分布の変動性に関する論文も執筆を進めている。窒素同位体の導入は本課題で新たに取り組むテーマであるが、文献調査と実測の部分で着実に準備を整えることができた。土壌凍結時の有機態窒素の無機化については、当初計画では取り組みの優先順位が高いものでは無かったが、研究室に新たに着任した研究員が大学院時代に取り組んでいた課題であり、偶然にも多くの示唆を得ることができたため、今年度の新たな成果とすることができた。

今後の研究の推進方策

窒素循環は複雑であり、近年の観測研究によるプロセスや環境応答に関する新知見も加わって全容をカバーするための取り組みを進める必要がある。H29年度は窒素動態のうち、硝化と無機化への比率が高かったが、H30年度は脱窒、揮散、溶脱などにも着目する必要がある。また、同位体の導入は本課題でオリジナリティが高いテーマで有り、プロセス解明と検証の両面から窒素同位体の特徴を再現することを目指す。それらの成果を関連学会で発表すると供に、段階的に論文として発表していく計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 東アジア森林生態系における温室効果ガス収支の長期変動に関するモデル解析2018

    • 著者名/発表者名
      伊藤昭彦
    • 学会等名
      日本森林学会129回大会
  • [学会発表] パリ協定に向けた陸域生態系モデルによる温室効果ガス収支評価2018

    • 著者名/発表者名
      伊藤昭彦
    • 学会等名
      JapanFlux 10周年記念集会
    • 招待講演
  • [学会発表] N2O studies by VISIT2017

    • 著者名/発表者名
      Akihiko Ito
    • 学会等名
      Regional and Global N Input Datasets and Global N2O Modeling
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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