研究課題
気候変動による海氷減少が水蒸気の変化を通して陸域の水循環に及ぼす影響を評価するために、北東シベリアにおける降水同位体観測ネットワーク(異なる気候帯にある5地点)を活用して、降水イベント毎に水サンプリングを実施し、降水の同位体比の季節・経年変化を調べた。そして海洋研究船「みらい」の北極航海において、大気中の水蒸気の同位体比の連続観測や降水サンプリングを行った。観測データの解析の結果、2019年度の解析結果と同様に気温に対して同位体比が敏感に変化していたことが分かった。水循環(河川流出、蒸発散)に関わる融雪水、暖候期降水(降雨)、地下氷融解水(または地下水)の成分分離ができ、それらの寄与率を評価できる同位体トレーサーを組み込んだ水文モデルを開発し、東シベリアのレナ川にモデルを適用した。その結果、レナ川の河川水がピークを示す春と夏において、河川流出量に対して融雪水が60%、降雨が40%寄与していたこと、凍土起源の地下水は秋においてその寄与が顕著になる季節特性が明らかになった。河川流出量に対する地下水の寄与は、凍土の温暖化が進んでいる非連続凍土が分布するレナ川上流の南限域において著しかった。年河川流出量の14%を地下水が占めていた。融雪水と降雨はそれぞれ32%と28%の寄与率を示した。モデル計算において降水起源の古い土壌水分として定義された土壌水が、初冬に、そしてレナ川上流域において河川水に対する寄与が大きく、その寄与(27%)が降雨に匹敵するほどであった。そして降雨が蒸発散の主要起源水であることが分かった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Science Advances
巻: 6 ページ: 1-7
10.1126/sciadv.abc4699
土木学会河川技術論文集
巻: 26 ページ: 175-180
土木学会論文集B1(水工学)
巻: 76 ページ: 163-168
巻: 76 ページ: 169-174
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20201107/