研究課題
本年度の研究内容とその成果を以下に示す。1.高放射線量域での大気エアロゾル及び降水のサンプリングを継続し、それらの化学・生物学的成分と放射性セシウムの濃度間相関から、4月までは鉱物粒子が、それ以降は真菌類胞子が大気再飛散担体として大きな寄与を持つことが明らかになった。花粉の寄与は小さいことが分かった。2018年は、それ以前に比べ5月以降の放射性セシウム大気放射能濃度増加が小さく、再飛散が低減される何らかの変化が起こっている可能性があることも分かった。2.地表面に沈着した放射性セシウムの再飛散フラックスの測定を行うため、高流量型緩和渦集積法システムを開発した。福島事故による放射性物質の高汚染地域において、開発した測定システムを用いて放射性セシウムの再飛散フラックス観測を行った。また並行して、傾度法と2-ボックスモデルによる放射性セシウムの再飛散フラックス推定に成功し、風速との明確な正相関がみられたことから、大気再飛散フラックスをモデルにとりいれるパラメタリゼーションを行うための基礎的データが得られた。3.バイオエアロゾル濃度をサンプリングしたフィルタの蛍光分析によって推定する装置を開発し、森林内での高度別のバイオエアロゾル濃度測定と、森林直上での緩和渦集積法によるバイオエアロゾルフラックス測定を実施した。その結果から林床だけでなく、樹冠も重要な放出減であることを示すデータが得られた。また高速度カメラによりキノコからの胞子放出の様子の撮影に成功した。それらのデータ解析から林床からのバイオエアロゾルのフラックスを推定し、放射性セシウムの再飛散を説明しうることを明らかにした。4.大気エアロゾル試料からの抽出液による植物培養実験により、大気放射性セシウムが植物に吸収されうる割合に大きな季節変化があることが分かった。今後その原因を明らかにしていく予定である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件) 図書 (4件)
Journal of Environmental Radioactivity
巻: 218 ページ: 106233
10.1016/j.jenvrad.2020.106233
Atmospheric Chemstry and Physics
巻: 20 ページ: 3589~3607
10.5194/acp-20-3589-2020
Scientific Reports
巻: 9 ページ: 1954
10.1038/s41598-018-37698-x
Journal of Hazardous Materials
巻: 379 ページ: 120770
10.1016/j.jhazmat.2019.120770
Atmospheric Environment
巻: 214 ページ: 116830
10.1016/j.atmosenv.2019.116830