研究課題/領域番号 |
17H01883
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
木山 亮一 九州産業大学, 生命科学部, 教授 (00240739)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 内分泌かく乱物質 / シグナル伝達 / バイオテクノロジー / 遺伝子発現 / 天然化合物 |
研究実績の概要 |
本年度は、3年計画の1年目として、以下の研究を実施した。 (1)遺伝子発現プロファイル解析によるシグナルクロストーク機構の解析:本項目では、エストロゲンシグナル伝達経路と低分子量Gタンパク質が関与するカスケードとのクロストークを検証し、bidirectionalとunidirectionalの大きく分けて2つの様式が存在することを得て、論文にて報告した(Kiyama, Eur. J. Pharmacol.)。 (2)細胞機能をもとにしたシグナルクロストーク機構の検証:本項目では、文献検索や遺伝子発現プロファイル解析をもとに得られる候補低分子量Gタンパク質に注目して解析を行い、シグナルメディエーター(NF-κBやPPARなど)の阻害剤について情報を得た。 (3)脳の性分化におけるエストロゲン応答細胞運動関連シグナルカスケードの解析(連携研究者との共同研究):本項目では、ラット脳(特に脳下垂体視床下部)の性分化との関連について、脳の分化におけるエストロゲンシグナルクロストーク機構について細胞運動に注目して解析を行った。 (4)天然及び合成化合物を用いたシグナルクロストーク機構の検証(連携研究者との共同研究):本項目では、天然試料としてキノコのエストロゲン活性を評価し、その活性をもとに部分精製を行った。また、阻害剤を用いた解析を行い、シグナル伝達経路に関する情報を得て、創薬ターゲットの探索の探索を行った。さらに、漢方とその材料に関して作用メカニズムやアプリケーション例をまとめて論文として発表した(Kiyama, Am. J. Chin. Med.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、当初は細胞培養に関して専任の研究員を新たに雇用して実験を依頼する予定であったが、研究員の公募を行ったが適当な人材を確保することができなかった。しかし、学内に協力してもらえる研究員を確保したので、課題の実施には影響は出なかった。また、シグナルメディエーターのタンパク質の検出に当初は発色法を検討したが、感度が低いことが分かったため、より感度の高い発光検出装置を購入することでその問題を解決した。このため、予期しない事態に対して研究予算の費目変更により対処を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の直接の成果として論文を2報発表した。また、間接的な効果として、応用に関する研究開発事業を2件新たに始めることになったため、応用研究の基礎として十分な役割を果たしており、成果も得られていると思われる。今後は、基礎と応用について明確に区別をするとともに、両者の間で連携を取りながら課題を進めていきたいと考えている。
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