研究課題/領域番号 |
17H01886
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
東 朋美 金沢大学, 医学系, 助教 (20293342)
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研究分担者 |
西條 清史 金沢大学, 医学系, 教授 (00178469)
上野 貴雄 金沢大学, 附属病院, 助教 (30623649)
原 丈介 金沢大学, 附属病院, 助教 (30710199)
高原 志津子 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (60446755)
今井 康人 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (60720878)
藤村 政樹 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (90190066)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 黄砂 / 喘息 / 慢性咳嗽 / 臨床疫学 / アレルギー |
研究実績の概要 |
今年度は、前年度と同様に患者さんの症状日誌調査を引き続き行うとともに、前年度までの収集データをすべてまとめたデータベース作成を完了させ、黄砂や環境中化学物質とアレルギー症状の関連について解析を行った。黄砂によるスギ花粉症患者の症状への影響を時系列解析、ロジスティック回帰、一般化推定方程式により解析した結果、くしゃみや鼻みずの症状はスギ花粉の飛散個数と量反応関係が認められたが、黄砂の濃度とは関係が認められなかった。スギ花粉と黄砂が同時に飛散した時の症状増悪の可能性について、2-pollutant modelで解析を行ったところ、今回の解析では、交互作用は認められなかった。 眼のかゆみの症状は、スギ花粉、黄砂それぞれの飛散と量反応関係が認められ、同時に飛散した時には症状が増悪する交互作用も認められた。鼻閉の症状はスギ花粉の飛散が一平方メートルあたり50個以上の時にのみリスクが上昇し、黄砂単独の影響やスギ花粉と黄砂の交互作用は認められなかった。PM2.5に多く含まれる多環芳香族炭化水素類(PAHs)とアレルギー症状への影響を同様に解析した結果、特に鼻みず症状への影響があり、PAHs濃度が高いほど症状のリスクが上昇した。黄砂の影響を考慮した2-pollutant modelでの解析では、黄砂の影響はほとんど認められなかった。スギ花粉と黄砂の同時曝露の影響については、社会的にも関心が高く患者さんも多いことから、交互作用の存在を明らかにしたことは意義深い知見となった。ただし年によって飛散の程度が変わるため、複数年にわたるデータを蓄積し統計解析を行うことが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した通りに患者調査を進めることができ、それに引き続くデータ入力とデータベース作成も大きな問題なく進んでいるため。また、症状影響解析を多方面から進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、複数年にわたるデータ統計解析を行い、今年度の症状影響解析で得られた結果と合わせて総合的な影響評価を進める。また、疾患別の影響評価を行い、環境中化学物質に対する感受性の違いを明らかにする。その違いや病態の指標となるバイオマーカーについて、今年度までに行っている呼気凝縮液中の脂質メディエーターの成分測定系の開発を進める。
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