研究課題
本研究の目的は、排水処理施設における亜酸化窒素(N2O)生成・消費機構の解明と、N2Oの放出削減を目指したバイオフィルムプロセスの開発である。ガス透過膜上にバイオフィルムを形成させる、対向拡散方式を用いたN2O排出削減法を提案する。本年度は、新規バイオフィルムプロセスの開発に向け、①脱窒細菌のN2O生成・消費速度を算出可能な手法による高活性N2O還元細菌の選出、②水温および酸素暴露がN2O還元細菌の活性に及ぼす影響評価、③脱窒リアクターのN2O生成・消費量評価による新規バイオフィルムプロセスの実現可能性評価、④バイオフィルム内のN2O生成・消費に関与する微生物群集構造解析、の4点を行った。①:15Nトレーサー法を用いたN2O生成・消費活性を評価し、脱窒細菌の種類によりN2O生成・消費の速度が大きく異なることが明らかになった。生成するN2O濃度の追跡のみでは、N2Oを巡る窒素化合物の変換速度を正確に把握できないことを示唆した。②:高活性なN2O還元細菌は、30度以上の水温において特に高いN2O消費活性を示すことが明らかになった。また、酸素暴露からのN2O消費活性の回復が早いことが実証された。③:循環式硝化脱窒法の無酸素槽を構築し、炭素/窒素の比率の異なる人工排水による脱窒能力の評価を行ったところ、現実的な量のガス透過膜充填によりN2OをN2に変換可能なプロセスを構築できることを示唆した。④:16S rRNA遺伝子に基づくアンプリコンシーケンスと予測メタゲノム法を併用することにより、バイオフィルム内に生息するN2O生成・還元に関与する細菌群が時系列的にダイナミックに変動することを示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
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