下水処理プロセスで水の浄化に主要な役割を果たす原生動物は、メタン生成菌を始めとした原核微生物を細胞内に共生させていることが多い。メタン生成菌は、宿主原生動物の嫌気代謝の結果生じる水素をメタン化することで、宿主による不溶性有機物の代謝を活性化している。その一方で、それ以外の共生微生物については宿主への寄与が明らかとなっていなかった。本研究は、下水処理プロセスで働く原生動物の共生バクテリアが、脂質合成を行って宿主へ供給するとともに脂質顆粒の形成を促し、宿主の飢餓条件への適応度を高めている可能性を示した。本研究成果は、原生動物の代謝基盤の理解を深め、プロセスの安定化や高度化に寄与すると考えられる。
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