本研究では、1.容器包装の機能の定義、2.食品ライフサイクルから容器包装への要求機能の分析、3.食品と容器包装の統合的評価手法開発、4.統合的評価に基づく消費者行動支援手法の開発、5.統合的評価に基づく容器包装の設計支援手法の開発の5項目を実施してきた。2019年度は、これまで2年間の成果に基づき、項目4および5を実施し、成果全体を総括して取り纏めた。 4.統合的評価に基づく消費者行動支援手法の開発:本年度開発した統合的評価手法は、消費者行動をシナリオとすることによって、消費者行動の違いによる環境影響を比較することを可能にした。例えば、小分け包装は、容器包装からの環境影響を増大するが、消費速度が遅い消費者シナリオでは食べ残しを削減する効果があり、設計の効果をライフサイクルにわたって統合的に評価することによってこのトレードオフの関係を定量的に比較できるようになった。 5.統合的評価に基づく容器包装の設計支援手法の開発:これまでに、統合的評価結果から、食品特性に応じ、機能や環境負荷の観点から望ましい容器包装の設計を支援する手法を提示してきた。専門家から容器包装設計の手順をヒアリングし、本研究にて開発した手法をアクティビティモデルとして表現した。各アクティビティにおいて、容器の構造と機能、機能とライフサイクルにおける流通・消費者行動、構造とリサイクル性などの関連がどのように利用できるかを検討し、統合的評価結果を製品設計で活用する手法を具体的に提案した。 最終年度として、これまでの研究成果を取り纏め、ライフサイクルマネジメント国際会議、アジア化学工学連合会議、日本包装学会、日本LCA学会、化学工学会で発表した。学術論文を執筆し、国際学術誌に論文1報が掲載され、さらに1報を投稿済みである。容器包装設計者向けの専門書の1節を分担執筆し、受理済みである。
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