研究課題/領域番号 |
17H01921
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上月 康則 徳島大学, 環境防災研究センター, 教授 (60225373)
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研究分担者 |
東 和之 阿南工業高等専門学校, 技術部, 技術職員 (40623260)
山中 亮一 徳島大学, 環境防災研究センター, 講師 (50361879)
大谷 壮介 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60554219)
田代 優秋 和歌山大学, COC+推進室, 特任助教 (90467829)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 都市海 / 大阪湾 / 港 / 運河 / 干潟 / ID |
研究実績の概要 |
都市近郊の海(都市海)での里海には,二つの大きな問題がある.一つ目は,環境改善が十分でないこと,二つ目は,里海づくりへの参加者が少ないことである.本研究では,前者には,市民協働でも運用できる技術「小わざ」を開発すること,後者には,「ふるさと化」,つまり『「ふるさと」意識を持ち,「誇り」に思う人は「ふるさと」のために保全行動をする』傾向にあることを活かして問題解決にあたることを考えた.本研究では,これらの「小わざ」と「ふるさと化」の両技術が社会実装され,各地の里海づくりの問題が解決されることを目指し,全国の都市海で調査実験を行い,最後に手引書としてまとめる. 本年度は,4つの水辺での市民協働での里海づくりを行った.1.尼崎港,2.尼崎運河,3.高砂市・この浦舟池内の人工干潟,4.徳島市・沖洲人工海浜.また2.では,参加する中学生を対象に,5.インストラクショナルデザインIDの視点から教育効果を測定した. 里海づくりの1.では,富栄養化した尼崎港でのワカメの栽培方法を新たに見いだすことができた.2.では,ボサ籠の設置と環境DNA調査で,生息する魚種を把握することができた.特に,優占するチチブについては,貧酸素耐性や簡単な生息場の創出方法を見いだすことができた.3.では,人工干潟上でヤマトオサガニが定着していることを確かめ,行動特性を新たに見いだすことができた.4.では,干潟の地形変動に対するルイスハンミョウの生息分布の応答を把握することができた.また,5.では,ID理論のARCSモデルで活動意図を説明することができた.例えば,活動を対外的に発表することで,自己肯定感が高まる一方で,自信を高めるまでには至らないことがわかった. 繰り越した研究は,秋季の荒天時の青潮発生時の水質変化についての調査を行い,データを収集することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
里海づくりのための,「小わざ」の開発を4カ所の水辺で実施し,それぞれの場所で,学術的にも,社会的にも新たに有用な知見を得ることができた.「ふるさと化」については,やや遅れているが,尼崎運河ではID理論を基に活動意図を説明することができた.繰り越した研究費も調査に使用し,予定通りデータを収集することができた.
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今後の研究の推進方策 |
「ふるさと化」ではホルモン物質を測定し,幸福度を測定する予定であった.しかし,ID理論による満足度を測定したところ,活動意図を説明できるという姓かを得ることができたため,本方法での検討を主に進めた.このために,計画していた備品の購入を昨年度はしなかった.今後も,ID理論による環境行動意図の検討という独自の方法で調査研究を進める. また,環境DNAの測定を尼崎運河で行い,期待以上の成果を得ることができた.今後も,本調査を1年通じて行い,科研費はその分析依頼費に充てることとする.
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