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2018 年度 実績報告書

全天空観測映像を用いた太陽光発電の局所・短期変動予測

研究課題

研究課題/領域番号 17H01922
研究機関静岡理工科大学

研究代表者

加藤 丈和  静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (30362859)

研究分担者 延原 章平  京都大学, 情報学研究科, 講師 (00423020)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード太陽光発電予測 / 全天空画像 / 深層学習 / 空画像モデル
研究実績の概要

本研究の目的は,太陽光発電を地産地消型のエネルギーとして効率的に利用するために,太陽光発電の局所的かつ短時間で急激な変動を高精度に予測することである.
太陽光発電はメンテナンス費用を除いて設置後の発電コストが不要で,数kWの一般の戸建て住宅用の小規模なものから手軽に設置でき,大規模なメガソーラーまで対応可能なため,様々な規模の発電設備の導入が推進されている.
一方で,太陽光発電は,天候の影響によって発電量が急激に変化するという問題があるため,電力ネットワークの需給バランスを維持するためには変動を吸収するための蓄電池や火力発電などの制御性の高い発電施設などが必要不可欠であり,電力の大部分を太陽光でまかなうことは困難であった.
本研究では,このような局地的な太陽光発電の変動に対して,数秒から数分の短期間で急激な変動を高精度に予測することを目指している.このような予測が可能になれば,電気給湯器やエアコン,冷熱蓄熱設備などを太陽光発電に連動させて制御することによって変動を吸収しつつ有効活用することが可能である.これらの機器は蓄電池に比べて低コストで,現状でも十分に普及している設備である.
太陽光パネルと同じ場所に設置した全天観測用のカメラの映像を用いて,太陽にかかる雲の動きを直接推定し,そこから太陽光パネルに届く日射量分布を推定することで,数秒から数分後の発電量を高精度に予測する手法を開発する.また,観測地点を多地点に拡張し,地点間の雲の動きや発電量の関係を解析し,メガソーラーや地域の発電量の詳細な予測手法を開発する.
具体的には,画像解析手法と学習手法の二通りのアプローチで予測手法の開発をおこなう.画像解析手法では空画像から太陽,雲を分離したうえで雲の動きを推定し,数秒後の空画像を生成し発電量の予測を行う.学習手法では過去数フレームの空画像と数秒後の発電量の関係を学習し発電量の予測を行う.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度までに,深層学習に基づく学習ベース手法による短期間の発電量予測と,画像ベース手法による空モデルに基づく,太陽,雲,青空の分離を行なった.また,京都大学と静岡理工科大学の2拠点でそれぞれ全天空画像と太陽光発電量データの同時取得システムを構築した.
当初の目的である学習ベース手法による短期間予測と画像ベース手法に基づく解析手法は開発済みである.ただし学習ベース手法では学習時と似通った雲の動きのシーンでは対応できるものの,異なる天候の場合にはうまく予測できないという問題がある.学習データを増やしていくことである程度対応可能であるが,汎化性能が弱く様々なシーンには対応できていない.
以上の状況でシステム開発は概ね順調であると言えるが,大量の画像データに対する実験結果が得られておらず,速報的に口頭発表を行うにとどまっており学術論文への投稿が遅れている.

今後の研究の推進方策

最終年度である今年度は,まず汎化性能の向上が目標となる.そのためには,いままでの純粋な学習ベース手法だけでは困難であると予想され,画像ベース手法と組み合わせた学習方法を検討する.
具体的には,空モデルに基づいて雲を分離した上で,オプティカルフローなどの画像処理手法によって雲の動きを予測したうえで,その情報を画像データに加えて学習させることで,学習していない雲の動きにも対応できるようにする.
また,太陽位置を正確に検出するために変更角度を取得できるカメラを利用する方法を検討する.青空部分ではレイリー散乱の影響で太陽方向と直交方向の偏光が観測され,雲部分ではミー散乱の影響で偏光が観測されないことが知られている.これを利用して空画像から画像上の太陽位置を正確に検出し,また偏光の有無の情報も利用して雲と青空の分離をより正確におこなう.
また,2拠点のデータを比較することで,設置場所に依存した情報と依存しない情報とを切り分けてより学習効率を向上させる方法を検討する.
さらに,本プロジェクトで開発した全天空画像観測システム自体も,あまり例のないものであるのでそのノウハウとともに,2拠点で開発した全天空画像と発電量のデータをデータベース化して公開し,ベンチマークが行えるようにすることを検討する.
また,いままでの成果をまとめて,1.学習ベースの予測手法,2.学習ベース手法と画像ベース手法を組み合わせた手法,全天空画像観測システムの構築法と公開データベース,3.偏光カメラを用いた空画像解析手法などの発表,論文投稿を進める.

備考

提案者が幹事をつとめる産官学連携のためのWG「エネルギーの情報化WG」にて,需要家主体のエネルギーマネジメントを目指してと第して,本プロジェクト提案を含む,地産地消型の電力マネジメントの考え方を紹介した.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Node-REDによるHEMSのための複数スマート家電規格の統合2019

    • 著者名/発表者名
      山中悠輝, 加藤丈和
    • 学会等名
      第24回CDS研究会
  • [学会発表] 全天観測カメラを用いた太陽光発電のリアルタイム発電予測2018

    • 著者名/発表者名
      白井 立樹, 鈴木 涼太, 加藤 丈和
    • 学会等名
      第21回 画像の認識・理解シンポジウム
  • [備考] 第4回スマートエネルギーマネジメントシンポジウム:需要家主体のエネルギーマネジメントを目指して

    • URL

      https://site.smart.kyoto-u.ac.jp/events/4th-symposium

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公開日: 2019-12-27  

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