研究課題/領域番号 |
17H01929
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
村山 武彦 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (00212259)
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研究分担者 |
長岡 篤 麗澤大学, 研究センター, 研究員 (40706561)
錦澤 滋雄 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (70405231)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環境リスク / 非常時 / 化学工場 / 防災対策 / 避難計画 |
研究実績の概要 |
1)外国における非常時の対応に関する取り組みの把握 米国において1986年に制定された「緊急事態計画および地域住民の知る権利法」(EPCRA)によって規定されている制度のうち、化学工場の事故により有害物質が漏洩した場合の地域住民の保護を目的とした制度の内容を調査した。特に、対象事業所がワーストケースに基づいて策定するリスク管理計画の内容や運用面の課題等について、環境保護庁(EPA)の担当部局の活動を中心に把握した。また、欧州における取り組みとして、EUが進めている化学工場の事故対策の枠組みであるセベソⅢ(一定の産業活動に伴う重大事故の危険性に関するEU指令)の運用状況を把握するとともに、個別の工場で実施されている具体的なリスク管理計画や事故時の防災対策の状況について情報を収集した。 2)非常時の化学物質の流出への対応に関する地域住民の意識把握のための基礎調査 石油コンビナート等災害防止法では、一定量以上の石油または高圧ガスを大量に集積する特定事業所が立地する84地域が、石油コンビナート等特別防災区域して指定されている。2018 年に特定事業所で発生した事故の総件数を確認したところ、398件(地震によるもの84件含む)となっている。 こうした化学工場での災害に関連する研究として、リスクコミュニケーションや地域住民の意識を調査した事例を調べたところ、災害時の対応や避難指示を発令する主体である自治体に対する住民からの要望に着目した研究や報告は見当たらないことから、次年度における社会調査の対象として、2017 年 1 月にJXTGエネルギー株式会社和歌山製油所の火災により住民避難の指示がなされた事例を選定することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象としていた外国における状況が現地調査に支障を来す時期があったため、当初の予定を変更する必要が生じたが、研究の遂行に必要な情報は概ね得ることができた。また、外国における調査が比較的困難な状況にあったため、国内で実施する化学工場周辺の住民意識調査のための基礎的な情報を収集することに努めた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた最終年度に実施する住民意識調査のための基礎的な情報に基づいて、質問紙票の設計、具体的な調査対象区域等を設定し、調査を実施した後、回収された質問紙票の回答結果を分析する。そのうえで、これまでの研究成果を含めて、最終年度のとりまとめを行う。
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