研究課題/領域番号 |
17H01933
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
高木 方隆 高知工科大学, システム工学群, 教授 (50251468)
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研究分担者 |
古沢 浩 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (20282684)
松岡 真如 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (50399325)
本田 理恵 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (80253334)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環境室定量化・予測 / 地理情報システム / リモートセンシング / 森林工学 / 農林水産物 |
研究実績の概要 |
自然界の各種物理量を三次元で表現するボクセルモデルは,これからの社会基盤データとなりうる.本研究は,高知工科大学が管理運営している山林・農地・古民家を実証フィールドとし,植生・地形・地質・土壌・地中水・気象などに関する物理量を統合ボクセルモデルに入力することで,自然環境の変化を詳細に予測するための基盤を構築する.そのデータ基盤をもとに,山林での土地被覆の改変が,微気象と有用植物栽培の適地性にどのように影響するのか,検討するものである. 植生ボクセルモデルは,まずUAVによる空撮画像より,樹冠モデルを生成した.さらに,地上での写真測量により,幹・枝・葉の樹木モデルを生成した.葉と枝との分類は,RGBの値を用いる手法を開発したが,撮影条件によって精度にばらつきが生じたため,RGBをHSVに変換することで分類精度が向上した.しかし,位置精度が不均質であることが分かり,レーザー計測も同時並行して行うことが必要とされた. 地中ボクセルモデルは,ボーリング調査を行うとともに,地温探査による地下水脈分布モデルを生成した.地温探査は,水路からの漏水の影響を受けていることも考えられたため,排水処理後の計測も必要とされた. 気象ボクセルモデルは,拠点に気象ステーションを設置するとともに,IoTを利用した気象観測機器を購入し,計測実験を行った.林内においては,電源と通信の確保が困難なため,省電力でデータロガー付きの省電力の専用機器の利用が必要とされた. 微気象のシミュレーションは,ボクセルモデルをサーフェスモデルに変換して,流体解析を行った.サーフェスモデルに変換する際,1mのボクセルサイズだと,ボクセルの形がそのまま表現されてしまい,微気象に影響を与えることが判明した.今後は変換の際,空間内挿や曲面の当てはめが必要とされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
植生ボクセルモデルは,葉と枝の分類精度と位置精度が,まだ要求精度に達っしていない.分類精度については,撮影条件を絞り込んで撮影し,一精度については,写真測量をレーザー測量に変更することで,達成できると考えている. 地中ボクセルモデルは,ボーリング調査も予定通り実施し,地下水脈分布が得られ,順調に進んでいる.今後は精度検証が重要な項目となる. 気象ボクセルモデルは,拠点に気象ステーションを設置し,そこでの計測は順調であるが,林内での定常的な計測に至っていない. 気象シミュレーションは,1mのボクセルサイズだと,ボクセルモデルをそのまま流体解析に使うことができなかった.そこで,空間内挿により対応する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
ボクセルモデルの構築は,現地計測は人手が必要で,データ処理もノイズ除去には人手が必要なので,今年度は大学院生を動員して作業を行う予定である. 高知工科大学大学院の授業「社会システム工学論」では,班編成をし,班ごとにテーマを決めて,計測・データ処理・データ解析・考察を行っている.この授業の中でボクセルモデル構築を取り上げ,本研究を推進していく予定である.
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