本研究では、海外直接投資のアフリカとアジアの環境に与える影響の違いを分析した。アフリカでは、天然資源の輸出が為替レートに及ぼす影響と教育水準の低さによる人材の不足によって、海外直接投資が資源関連に集中して環境悪化につながっていることが明らかにされた。さらに製造業への投資が少なく国内の雇用創出に結びついていないことも、個別企業データを基に明らかとされた。アフリカ諸国における旧宗主国との力関係が中国企業の進出によって変化した要因が環境問題にもたらす影響も分析した。最後に、近年の米国の金融緩和とウクライナ戦争の影響で資源価格が高騰したことによる「オランダ病」が環境面に及ぼす影響についても分析した。
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