研究課題/領域番号 |
17H01951
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
水谷 千代美 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (00261058)
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研究分担者 |
梶原 莞爾 信州大学, 繊維学部, リサーチフェロー (10133133)
弘田 量二 松本大学, 人間健康学部, 教授 (20448385)
壬生 尚美 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (40312186)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 不快臭 / 体臭 / においと生理反応 |
研究実績の概要 |
介護現場では排泄物臭や体臭のような身体起源の不快臭が問題視されている。体臭は、汗や皮脂などが皮膚常在菌の働きによって不快臭物質に分解されるために発生し、他者に不快感をあたえるスメルハラスメントの原因となる不快臭の一つである。本研究は、体臭の原因となる不快臭物質を調べた後に、体臭(日常生活の代表的な不快臭)とグレープフルーツ臭(代表的な快適臭)に対する人間の生理反応を比較した。 まず、高齢者に綿製の下着を1週間継続して着用してもらい、吸着した体臭をガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により分析した。体臭の原因となる不快臭物質として、2-ノネナールやカプロン酸やペラルゴン酸などの脂肪酸類、デカナールなどのアルデヒド類が検出された。 次ににおいに対する生理反応を調べるために健常な女子大学生10名を被験者とし、恒温恒湿室(温度:25℃,湿度:55%RH)内で、安静(180秒)、におい呈示(70秒)、再安静(180秒)として、快適臭と不快臭を交互に呈示し、心電図、呼吸変化、前頭葉の脳血流量を計測した。その結果、各区間における平均瞬時心拍数は、安静時と再安静時には有意差が見られなかったが、グレープフルーツ臭よりも体臭の方が高かった。体臭の吸入は交感神経を亢進し、心拍数を増加させると考えられる。また、近赤外分光法(NIRS)を用いて脳血流変化に伴うヘモグロビン(Hb)変化を測定した結果、体臭呈示中の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)の増加が確認された。 また、抗菌消臭性繊維を用いたTシャツを運動時に着用し、実際のフィールドにおける体臭の発生に与える効果を調べた。その結果、抗菌消臭性繊維は発汗による皮膚pHの上昇や皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌の増殖を抑制し、体臭の発生を抑えることが実証できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であったにおいと生理反応との関係を調べることができた。
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今後の研究の推進方策 |
体臭を構成する単体の臭気物質と混合臭を嗅いだときの生理反応を調べる予定である。 現段階では被験者を使う実験が困難なために、最終年度はこれまでの成果をまとめる予定である。
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