研究課題
本研究は食・睡眠・親子に関する健康教育プログラムを作成することを目的としている.そのため,今年度は2つの基礎的な調査を実施した.1.食事づくり調査:本研究,1次調査における食事づくり調査の質問項目作成のために,簡便な食事づくりの状況を測定するための質問紙調査を実施した.対象は大学生とし,13の料理について,5~7段階の調理工程(完全手作り~中食)に対して,大学生自身と家庭での調理を主に担当する親がもっともおこなう調理について選択してもらい,あわせて,大学生自身が学童期と現在どのような調理行動(手伝いも含む)を行っていた・行っているか評定してもらい,その関連性を検討した.その結果,主に女性において簡便な食品を利用している者は児童期から食事作りへの関与が少ないだけでなく,調理技術を学習する上で親への観察学習が有効に機能しなかった可能性があり,本研究での母親の行動を検討するための示唆が得られた.2.日本語版S-UPPS-P衝動性尺度の作成:母親の日常生活の煩雑さの検討のために,衝動性尺度を取り入れることとしたが,海外の研究と同一の因子構造で比較が可能で,信頼性・妥当性が確認された衝動性尺度が存在しないため,本研究内で作成することとした.S-UPPS-P Impulsive Behavior Scale (Cyders et al.,2014)の日本語訳を作成し,信頼性・妥当性を検討した.その結果,本調査での日本語版S-UPPS-P衝動的行動尺度は原版と異なり正負の切迫性が2尺度にわかれず1尺度となったこと,再検査信頼性が十分な値とはいえなかったことなどの課題が残った.
3: やや遅れている
当初,今年度終了時に1次調査を実施する予定であったが,調査実施について様々議論したところ,1次調査実施前に検討すべき点が2点(食事づくりに関する項目作成と日本語版S-UPPS-P衝動性尺度)が生じた.そこで,今年度はこれら2点についての調査を実施した.日本語版S-UPPS-P衝動性尺度については,問題点をさらに改良した上で,さらなる調査を実施する必要も生じたため,1次調査を2018年度に延期した.
今年度実施した食事づくり調査と日本語版S-UPPS-P衝動性尺度作成のための調査の分析結果に基づいて,2018年度は1次調査ならびに2次調査を実施する.2019年度はそれらの分析に基づいて健康教育プログラム案を作成し,プレテストを実施することによって遅れを取り戻す予定である.
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Nutrients
巻: 10 ページ: 118-131
10.3390/nu10020118