研究課題/領域番号 |
17H01964
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
望月 和樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80423838)
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研究分担者 |
三宅 邦夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60550712)
三好 規之 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (70438191)
針谷 夏代 山梨学院大学, 健康栄養学部, 准教授 (80732784)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中鎖脂肪 / エネルギー代謝 / 骨格筋 / 老齢現象 / トマトパウダー |
研究実績の概要 |
1. 中鎖脂肪とトマトパウダーの共投与の影響 通常ラットを対照食群、長鎖脂肪食群、長鎖脂肪を中鎖脂肪に置き換えたMCT食群、それぞれにトマトパウダーを5%添加した群に分け、2週間摂食させた。その結果、肝臓のリコペン蓄積量および血清中の高分子量アディポネクチン濃度は、MCTとトマトパウダーの共投与により増大した。MCT投与によって、肝臓中の脂肪酸合成遺伝子(Acaca、 Acacb、Fasn)の発現が増大し、トマトパウダーの共投与によって低下した。MCTとトマトパウダーの共投与により、脂肪肝形成抑制遺伝子(Nqo2、Cd36、Hsp70 、Casp1)の発現が増大することがマイクロアレイ解析によって明らかとなった。以上の結果は、トマトパウダーの摂取は、MCTの過剰摂取で観察される脂肪合成関連遺伝子発現の抑制、脂肪肝形成抑制遺伝子発現の増大を介し、脂肪肝のリスクを低減させる可能性を示唆している。 2. エピゲノム因子BRD4のヘテロ欠損マウスへの中鎖脂肪の投与の影響 中鎖脂肪酸は、Gene body領域のヒストンアセチル化修飾を促進することが明らかとなっている。Gene body領域のヒストンアセチル化修飾は、BRD4が結合し、代謝遺伝子の発現を促進する。そこで老齢期(解剖時100週前後)のBrd4タンパク質のヘテロ欠損マウスに、中鎖脂肪を6ヶ月程度投与する実験を行った。その結果、Brd4ヘテロ欠損マウスは、通常マウスと比較して、老齢現象(サルコペニア、耐糖能異常)を示す傾向を示した。Brd4ヘテロ欠損マウスに中鎖脂肪を投与すると、耐糖能異常が改善する傾向にあること、骨格筋におけるエネルギー代謝経路や筋タンパク質合成経路の遺伝子発現が増大することが明らかとなった。以上の結果は、Brd4ヘテロ欠損マウスへの中鎖脂肪の投与は、老齢現象の抑制に関与する可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のように動物実験が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
中鎖脂肪とトマトパウダーを2週間投与したラットの肝臓において、中鎖脂肪で発現が増大した代謝関連遺伝子などの遺伝子周辺のヒストン修飾およびBRD4などのエピゲノム因子の結合をクロマチン免疫沈降法で観察する。このことによって、中鎖脂肪による代謝関連遺伝子の発現増大およびトマトパウダーによる抑制にGene body領域のエピジェネティック制御が関与するかを検証する。さらに、中鎖脂肪で発現が増大した代謝関連遺伝子のタンパク質発現をWestern blot法によって確認する。 Brd4ヘテロ欠損マウスの老齢現象の中鎖脂肪による抑制機構の解明に関しては、マイクロアレイ解析によって骨格筋で発現が変動した遺伝子に焦点を当てて、リアルタイムRT-PCRでmRNAの発現量を調べる。さらに、タンパク質発現量をウエスタンブロット法で調べる。また、筋肉の線維化について、アザン染色等やコラーゲン染色等で観察を行う。
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