研究課題
C57BL6/Nマウスの仔獣を母獣と一緒に飼育し、16日に早期離乳させた後、通常固形食を摂取させた仔獣、通常ミルクを摂取させた仔獣、中鎖脂肪含有ミルクを摂取させた仔獣を22日齢にすべて通常固形食に切り替えた。83日齢において、中鎖脂肪含有ミルク摂取群では、肝臓における解糖系遺伝子Pfkm、β酸化遺伝子Acsl1の発現が顕著に増大し、脂肪組織においても脂肪酸合成遺伝子Scd1、β酸化遺伝子Acox1、中性脂肪合成遺伝子(Dgat 2, Cidec)の発現増大傾向、小腸におけるタンパク質消化吸収遺伝子(Anpep、Pept1)の発現増大傾向が観察された。以上より、早期離乳マウスに中鎖脂肪ミルクを投与すると通常ミルクで観察される代謝低下、タンパク質の消化吸収低下を抑制し、生活習慣病の発症を抑制する可能性が示唆された。代謝遺伝子群の発現を制御するエピゲノム因子BRD4のヘテロ欠損マウス(54-84週齢)を用いて中鎖脂肪食による代謝改善作用を検証した。その結果、副睾丸周囲脂肪重量(/体重10 g)では、低中鎖脂肪食群において、解剖時95週齢未満の群で体重や脂肪蓄積抑制が確認されたのに対し、95週齢以上の群では確認されなかった。 mRNAマイクロアレイ解析ならびにqRT-PCR法により、中鎖脂肪食群において解糖系の副路であるペントースリン酸経路阻害関連遺伝子Cndp2、クエン酸回路促進関連遺伝子Pcx、脂肪滴分解に関与するPlin3、活性酸素種除去関連遺伝子Gpx2-ps1などの遺伝子や筋サテライト細胞からの筋再生に関与するMyh3の発現増大が確認された。以上より、老齢Brd4ヘテロ欠損マウスにおける中鎖脂肪摂取は、より高週齢のマウスでは、体重や内臓脂肪量の低下を引き起こさないこと、骨格筋の代謝を改善するとともに、筋サテライト系からの筋再生経路が活性化する可能性が示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 印刷中
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