研究課題/領域番号 |
17H01970
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
池田 彩子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (80308808)
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研究分担者 |
小田 裕昭 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20204208)
藤原 葉子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50293105)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 栄養学 / ビタミン / 骨代謝 |
研究実績の概要 |
マウスやラットに多量のビタミンEを摂取させると、骨量が減少することが報告された。また、ビタミンKは、骨たんぱく質の合成を通して骨量の維持に貢献している。そこで、本研究では、ラットの骨量に及ぼすビタミンKおよびビタミンE摂取の影響を明らかにすることを目的とした。実験には高齢のWistar系雄性ラットを用いた。 6~7ヶ月齢のラット30匹のうち、5匹は1週間の予備飼育後に屠殺した。残りの25匹をα-トコフェロールとフィロキノンの含量の異なる5種類の飼料で9ヶ月間飼育した。飼料中のフィロキノン含量は0.075または0.75mg/kgとし、α-トコフェロール含量は5、50、または500mg/kgとした。フィロキノン含量0.075mg/kg飼料の摂取は、フィロキノン含量0.75mg/kg飼料に比べて活性化部分トロンボプラスチン時間を延長させた。 予備飼育後に屠殺したラットに比べて、実験飼料を9ヶ月間摂取させたラットの大腿骨骨密度は有意に低下し、特に海綿骨の骨量の減少が顕著であった。しかし、α-トコフェロールとフィロキノンの摂取量の違いは、これらの骨指標に明らかな影響を与えなかった。したがって、高齢ラットにおいてビタミンEとビタミンKの摂取量の違いは骨密度に大きな影響を与えないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に研究を開始し、まず本学動物実験委員会による承認を得た。また、ビタミンK定量用のHPLC装置一式を新規購入し(平成29年7月納品)、定量条件の設定を行った。ラットを用いてビタミンE摂取が骨のビタミンK濃度とビタミンKの生理作用に与える影響を明らかにし、得られた成果が2018年のJNSV誌に掲載された。 平成30年度はビタミンCを合成できないODSラットを用いて、ビタミンKとビタミンC、またはビタミンEとビタミンCの組み合わせが骨量に及ぼす影響を調べた。これらの3種類のビタミンの中では、ビタミンCの骨に及ぼす影響が最も大きいことがあらためて確認できたため、骨に対するビタミンCの作用をさらに詳しく解析する予定である。 平成31・令和元年度は上述のように、平成30年度から飼育を続けていた高齢ラットの骨密度に対するビタミンEおよびビタミンK摂取の影響を解析した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況の「理由」に記載したように、骨代謝に及ぼすビタミンCの作用をさらに詳しく解析する。ビタミンCを合成できないODSラットを用いて、ビタミンC欠乏のどのくらいのタイミングで骨密度の低下が起こってくるのか、という経時変化を中心に、骨代謝マーカーに対するビタミンC摂取の影響を明らかにする。また、令和2年度は最終年度であるため、本研究全体から骨代謝に及ぼすビタミンの影響を考察する。
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