研究課題/領域番号 |
17H01981
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
道法 浩孝 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (90457408)
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研究分担者 |
蒲生 啓司 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (90204817)
伊谷 行 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (10403867)
北川 晃 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (90450684)
草場 実 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (00737851)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 科学技術 / 科学技術教育 / 教員養成カリキュラム / 科学技術リテラシー / カリキュラム開発 / 教材開発 / 実験とものづくり |
研究実績の概要 |
平成30年度は,構築した科学技術教育教員養成カリキュラムの実施と評価を並行して展開し,カリキュラムの工夫・改善と有効性の検証を行った.特に新設授業科目「科学技術教育総合演習」に焦点をあて,評価・分析を行った.また卒業研究についても,本教員養成カリキュラムとの関わりに視点をあて評価・分析を行った. 「科学技術教育総合演習」では,生物学と生物育成技術及び化学と材料加工学との関連性・相補的関係性をテーマとする授業を展開した.前者では,作物の栽培及び動物の飼育等を計画的に行うための基盤となる科学的理論の追求,生物学と生物育成技術を融合した中学校における授業内容の検討を,講義及び学生による調査・発表を通して展開し,科学,技術それぞれの視点で学生が身に付けてきた知識・技術の融合を図ることができた.後者では,木材,金属,プラスチックの科学的な性質を,原子・分子レベルから化学及び材料工学それぞれの視点に基づき両者の関連付けを図りながら理論的考察を行った.また,前年度実施した科学技術教育総合演習において学生が製作したPC自動計測装置の温度自動計測機能を活用し,中・高等学校で実施可能な実験教材の検討を行わせた.その結果,再結晶時の温度変化の計測とその結果に基づく溶解度曲線の作成,加熱式弁当の瞬時的温度変化等,従来学校に設備されている実験環境では,実施困難と考えられる化学実験の教材化を図ることができた. さらに本年度卒業研究を行った4名の学生は,いずれも科学と技術を融合したテーマで研究を展開した.特に3名の学生は,理科教材の開発を材料加工技術,電子回路の設計・製作技術及びコンピュータによる計測・制御技術を活用して展開し,科学と技術を融合した教員養成カリキュラムで習得した能力を効果的に生かした卒業研究を行った.これらの成果を,科学教育及び技術教育に関連する学会において講演発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究成果として,以下の2点が挙げられる.1点目は,科学と技術を一体的・系統的に指導できる教員を養成する教育プログラムを構築し,大学教育学部における教員養成課程へ位置づけ,実施していることである.2点目は,開発したカリキュラムを実施し,カリキュラムにおける特徴的な授業科目に視点を当て,結果の評価・分析を行ったところ,以下に示すようなカリキュラムの有効性を示唆する一定の成果を得ることができたことである. (1)これまで科学,技術それぞれの視点で学生が身に付けてきた知識・技術の融合を図ることができた(科学技術的知識・技術). (2)科学を応用し,ものづくり技術を効果的に活用して教材を開発する力を身に付けることができた(科学技術教材開発力). (3)科学と技術を融合した教材の開発及びそれを適用した学習指導法を計画・実施する力を,身に付けることができた(科学技術教育実践力. しかし,カリキュラムの有効性を客観的に検証する段階にまで至っておらず,この点において課題が残されたため,達成度を②とした.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に引き続き,開発したカリキュラムの実施とその評価を並行して展開し,カリキュラムの工夫・改善を図っていくとともに,カリキュラムの有効性の検証を行う.特に,カリキュラム評価に対し客観性の高い評価方法の検討・導入を行い,その有効性を検証する精度を高めていく. また本年度は,これまで実施してきた科学と技術を融合した新設授業科目に対する評価に加え,教育実習及び卒業研究等実践的な内容を伴う教員養成課程における一般的な授業科目に対する評価も実施し,総合的な視点から,本プログラムを通して科学と技術の一体的・総合的指導力を有する教員としての資質・能力が身についているかどうかを分析し,プログラムの有効性の検証を行う.教育実習は,3年時に4週間,4年次に2週間設定しており,中学校において理科及び技術科双方の教科指導について実習を行うようになっている.実習の評価は,学習指導案,研究授業及び実習終了後に履修する教職実践演習の結果等に基づいて実施する。卒業研究については,理科及び技術科いずれかの研究室に所属し,可能な限り科学と技術を融合したテーマを設定するようになっている.研究の成果は,プログラムに設定している授業科目との関連性,及び科学技術的知識・技術,科学技術教材開発力,科学技術教育実践力等の観点から評価する. なお本年度は,本研究課題最終年度にあたるため,これまでの研究成果の取りまとめを行い,成果を国内外の学会において発表するとともに,学術誌(例えば科学教育学会,産業技術教育学会及び教科教育学会等の論文誌)に論文として投稿する.
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