研究課題
「科学の有用性」を実感し科学的能力と科学的態度の育成を目指す学習モデル研究を遂行するためには,新学習指導要領の目指す方向性,育成すべき資質・能力を段階的,系統的に明確化するとともに,学習内容と学習活動をつないでいく必要性,さらには資質・能力の育成に資する新たな評価の取組が求められる。高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説理科編には,「資質・能力を育むために重視すべき学習過程のイメージ(高等学校基礎科目の例)」が掲載されており,「対話的な学びの例」に「相互評価」が位置付けられている。しかし,「相互評価」を学習活動に結び付けていく具体的かつ有効な取組についてはさらなる研究の推進が必要である。研究の方向性の一つである「相互評価」には,自己評価と他者評価がある。これまでの研究で,相互評価を効果的に行うためには,自己効力感を高めていく必要があり,自己形成における信頼できる自己評価観の確立が不可欠であることがわかってきている。自己評価観の確立に向けては,学校教育における学習活動と評価の変革と,それを通じた評価観の変革が求められる。そこで「学習としての評価」の理論に基づいて,段階性,系統性を意識しながら,表現力の育成を目指し,学習過程に評価活動,特に「相互評価」の学習活動を内包した学びを構想し,授業実践を行い,実証的な検証や検討を進めてきた。具体的には,科学の有用性を学習者自身が自覚できるような取組を構想しつつ,育成すべき資質・能力の柱の一つである表現力の育成とその評価に焦点を当てた取組を推進している。学習者が化学実験等を通した探究活動を行い,学んだことを表現する学習場面を設定する。さらに,表現したものに対し,相互評価する学習活動を取り入れ,これら取組を通じた学習者や教師の変容を明らかにして,科学の有用性を感じられる取組の一つとして研究を促進してきた。
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Journal of Research in Science Education
巻: 60 ページ: 251~266
https://doi.org/10.11639/sjst.sp18009
日本化学会,化学と教育
巻: 67 ページ: 242-245